植物は、人間・半自然・自然環境という3つの領域にわけて理解することもできます。自然環境保全のためには半自然の再生が必要です。
『植物』(講談社の動く図鑑 MOVE)はすぐれた植物図鑑です。子供むけですが大人がみてもたのしめます。


目 次
 まちの植物 春、夏、秋・冬
 田畑・野の植物 春、夏、秋・冬
 雑木林の植物 春、夏、秋・冬
 山の植物 春、夏、秋・冬
 水中・水面の植物
 海辺の植物


〈人間-環境〉系の観点からとらえなおすとつぎのようになります。

 A. 人間の領域:まちの植物
 B. 半自然の領域:田畑・野の植物、雑木林の植物
 C. 自然環境:山の植物、水中・水面の植物、海辺の植物

これを図式にあらわすとつぎのようになります。

180110 植物
図 植物の分類


A領域に生えた植物はもっとも身近な植物です。B領域は、人の手のはいった自然であり、日本では伝統的に里山とよばれていました。C領域は身近でない自然、基本的には人間の手がはいっていない植物の領域です。

とくに注目すべき領域はBです。


田んぼのあぜは日あたりもよく、栄養豊富な土があるため、春になると多くの植物が芽を出します。5月ごろには田植えがあり、イネは春の日差しをあびて育ちます。

夏になると、あぜには多くの植物がしげってきます。イネは大きく育ち、遠くから見ると一面、緑のじゅうたんのようです。

秋になると、さまざまな作物が収穫の時期をむかえます。収穫が終わった田んぼには、次の年の田植えまでの短い期間に生える植物があります。


日本人などの稲作文化の民族は半自然を本来は大切にしてきました。そこは地域の文化をはぐくむ領域でもありました。

今後、自然環境を保全するためには半自然の方法が必要です。あらため半自然を見なおし、また再生させる努力をしなければなりません。




本書は、NHK のスペシャル映像を豊富につかった DVD(50分)がついた「DVD 連動図鑑」です。先日、この「動く図鑑 MOVE」にもとづいた企画展「生きものになれる展」(日本科学未来館)にいったので、書籍(図鑑)の方もみてみました。

解像度のたかい写真や絵が豊富で、見開きのイラストは、A・B・Cの風景をわかりやすくあらわしていて、それぞれの領域をトータルに認識するために役立ちます。植物は、風景を特徴づける要素として大きな役割をはたしています。


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▼ 参考文献
天野誠・ 斎木健一監修『植物』(講談社の動く図鑑 MOVE)講談社、2014年6月12日