減災の立場にたって、自然と対峙するのではなく、共存していくことがもとめられます。
「鎮守の森のプロジェクト」の 2017 年次報告書がとどきました。このプロジェクトは、公益財団法人鎮守の森のプロジェクトがすすめている植林事業です(注)。

今年の植樹本数は 65,751 本、参加人数は 7,340 人でした。

樹種は、シイ・タブ・カシなどの常緑広葉樹であり、これらは針葉樹とはちがって深根性・直根性で、地中ふかくに根をはるので、地震や津波がきてもたおれません。常緑の葉は水分をおおくふくむので火防木の機能もあります。したがって、地震や津波・台風・洪水・火事などの自然災害を軽減し、住民の避難場所・避難経路にもなります。

東日本大震災で津波の甚大な被害をうけた岩沼市では、28 万 8000 本の植樹を5年間にわたりすすめ、沿岸約 10 キロにおよぶ「緑の防波堤」をつくりました。津波を完全に防御するのではなく、災害時の被害をいかに最小限にくいとめるかという減災のかんがえかたを基本に、復興をすすめています。

自然と対峙するのではなく、共存していくという思想です。たいへん重要なことです。


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▼ 注
鎮守の森のプロジェクト