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ダンゴムシになる(交差法で立体視ができます)
対象になりきることができれば、通常とはちがう理解の仕方がすすみます。
「MOVE 生きものになれる」展が日本科学未来館で開催されています(注)。生きものに実際になって実感する、めずらしい体験型イベントです。見るのではありません。生きものになるのです。

ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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ダンゴムシになった

ダンゴムシは、落ち葉や動物のうんち、動物の死骸などを食べており、森の生態系の一翼をになっています。ダンゴムシが丸くなるのは、アリなどの天敵から身をまもったり、乾燥から体をまもったりするためです。ダンゴムシには脚が 14 本もあるので昆虫ではありません。昆虫の脚は6本です。ダンゴムシは、エビやカニとおなじ仲間の甲殻類に分類されます。

世界中でみられるダンゴムシですが、日本には、船の荷物にまぎれてヨーロッパから明治時代にやってきたとかんがえられています。日本全国に生息していますが、寒さにはよわいため北海道にはあまりいません。


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ペンギンになって巨大ザメにのみこまれる



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ホエザルになって大声をだす



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ライオンになって狩りをする




子供たちはみんなたのしんでいました。生きぬく知恵や環境への適応などを直観する貴重な体験になったかもしれません。通常は、生物は見て理解します。生物は観察する対象です。しかしここでは観察するのではなく、対象になってしまうのです。

たとえば樹木医は、木に手をあてて、木に耳をあてて木の診察をします。しかしもっとすすんで「木になってみる」と木の病気がよくわかるといいます。

また以前、ボイラーの修理技師から、「ボイラーになってみる」と悪いところがよくわかるという話をきいたこともあります。

あるいは一流のサーファーは「波になる」といいます。普通のサーファーは、波をよく観察したり波の音をよく聞いたり風を感じたりして、波の動きを判断してうまく波にのります。しかし一流のサーファーは波になっておのずと体がうごくというのです。感覚器官をへないで自然に体がうごく。情報のインプットを必要とせず、プロセシングがあるのみといった状態です。

このように、そのものになりきることができたとき、あらたな世界がひろがるようです。しかしこれは容易なことではありません。情報処理の上級コースといってもよいでしょう。

しかし大人よりも子供のほうが、理屈がないぶん直観がはたらいて、このようなことがしやすいのではないでしょうか。もしかしたら子供のほうがすすんでいるのかもしれません。

今回の企画展は一見すると子供むけでしたが、実際には、深遠な問題をふくんだ貴重なイベントでした。


▼ 注
MOVE 生きものになれる展
会場:日本科学未来館
会期:2017年11月29日~2018年4月8日
※ 講談社の『動く図鑑 MOVE』のコンセプトやコンテンツをベースにしています。