iPS 細胞をつかった再生医療によりキメラ動物をつくれるようになりました。キメラをつくってもよのか? 一般の人々も関心をもって議論に参加しなければなりません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2017.12号の連載「再生医学の最前線」第4回(終)では、「"本物の臓器" はつくれるか?」について解説しています。



ヒトの臓器をブタやヒツジの体内でつくる目的の一つは、臓器不足を解消するためです。(中略)iPS 細胞を利用して、自分の臓器をつくることができれば、臓器移植で問題となる「拒絶反応」も解消できると考えられています。


iPS 細胞をつかった再生医療により臓器不足や拒絶反応を解消できる一方で、ブタやヒツジの体内でヒトの臓器をつくってもよいのかという問題があります。

これは、2種の動物の細胞が混在する動物をつくりだすことになり、「キメラ動物」とよばれます。キメラ動物では、ヒトの細胞がどれくらいあればヒトとしてあつかうことができるのか? ヒトの細胞が圧倒的に多ければ問題はないかもしれませんが、具体的にどこで一線をひけばよいのか? 99%なのか、80%なのか、60%なのか? 

キメラ動物の医学的研究はアメリカ・ドイツ・中国・日本などでおこなわれています。これまではキメラは想像上の動物でしかありませんでした。絵にかいたり彫刻をほったりする人はいました。しかし今日、再生医学をつかえば具体的につくりだせるところまできています。

わたしたち人間は、歴史的に大きな転換点にきています。国の指針によって今のところ日本ではきびしい規制がしかれていますが将来的にはどうなるかわかりません。

一般の人々もこの問題に関心をもち、どうするのか、議論に参加しなければなりません。


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▼ 参考文献
『Newton』(2017年12月号)、ニュートンプレス、2017年12月7日発行