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バーミヤン石窟K洞壁画「仏座像」(7・8世紀)
(交差法で立体視ができます)
視覚・触覚・聴覚・嗅覚を統合するとみごとな臨場感が生じ、新鮮な体験をすることができます。
シルクロード特別企画展「素心伝心 -クローン文化財 失われた刻の再生-」が東京藝術大学美術館で開催されています(注1)。

ステレオ写真は交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -

バーミヤン石窟K洞壁画「仏座像」(写真)は、アフガニスタンから流出していた壁画断片を「クローン文化財」として再現しており、自由にさわってその質感や重さをたしかめることができます。表面はざらざらしていて凹凸があり、重量がけっこうあります。このような質感が、繊細というよりも力強さ、シルクロードの歴史の重みをいっそう強調します。

今回の美術展は視覚だけにたよるのではなく、このような触覚体験もできます。また展示室の各所にスピーカーが配置されていて、静寂のなかにときおりひびく不思議な音、空中をとびかう鳥の音など、サラウンドの音響効果もうみだしています。さらに、どこからともなくお香のかおりがただよいます。

このように、視覚・触覚・聴覚・嗅覚にうったえ、これら複数の感覚が統合されることによりみごとな臨場感が生じます。複数のルートから内面に情報をインプットできるということです。これはとても新鮮な体験であり、記憶にもよくのこります(注2)。

さすが東京藝術大学です。ほかの美術館とはやることがちがいます。役所が運営する普通の美術館だと斬新なことはあまりできないかもしれませんが大学美術館なら可能でしょう。このようなチャレンジングな「実験」を今後ともどんどんやってほしいとおもいます。



▼ 注1
会期:2017年9月23日〜10月26日
※ 一部をのぞき写真撮影が許可されていました。

▼ 注2
何かを勉強したり身につけたりするときに、複数の感覚をつかい、複数のルートから情報を内面にインプットすると効果てきめんです。記憶もよくのこります。

▼ 参考文献
『シルクロード特別企画展「素心伝心」』(解説書)東京藝術大学、2017年9月13日