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菩薩座像(チベットまたはネパール、15〜16世紀)
(平行法で立体視ができます)
チベットの仏像は特異です。インド・チベット・中国・日本の仏像を比較しながら、仏教の伝播と歴史を想像することができます。
「博物館でアジアの旅『マジカル・アジア』」が東京国立博物館・東洋館で開催されています(注1)。アジア各地の吉祥・魔除け・呪いなど、目に見えない不思議なパワーにまつわる作品を紹介しています。

なかでも注目なのが、特集「チベットの仏教と密教の世界」(東洋館地下展示室)(注2)です。めったにみることがないチベットの仏像が展示されています。わたしたち日本人からみるときわめて特異な仏像です。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



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チャクラサンヴァラ父母仏立像
(チベットまたはネパール、15〜16世紀)
インドの女神信仰をうけ、妃を抱擁する父母仏(ヤブユム)というスタイルであらわされる守護尊(イダム)です。金剛杵(武器)や肉切り包丁といった法具、生首やどくろのネックレスなど、奇怪な持ち物も特徴のひとつです。足元では、煩悩や災厄を象徴する神々がふみつけられています。



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八臂十一面観音菩薩立像(中国、17〜18世紀)
十一面を頭上にいただき、腕を八本あらわすのは、チベットでは、ラクシュミー流として したしまれる姿です。念珠や法輪・弓矢・水瓶などをもっています。



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チューギェル立像(中国、18〜19世紀)
死神ヤマが仏教にとりこまれた姿で、死者を現生に処罰することから、チベット語で「法王」を意味するチューギェルとよばれます。水牛のうえにたっています。肩からかけられた生首の飾りがおそろしいです。



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黄色ジャンバラ座像(中国、17〜18世紀)
ジャンバラは、福徳をつかさどる神です。右手に、シトロンとよばれる果実をもち、左手に、宝石をはきだすマングースをかかえていて、太鼓腹もあわせて財宝神の特色です。体の色で種類がわかれ、黄色がもっとも信仰をあつめました。インドの精霊に由来し、クベーラともよばれます。




生命力みなぎる「強力な仏」たちがいました。チベット密教は仏教発展の最終形態であり、その仏像は見る者を圧倒します。これは、ヒンドゥー教の影響をうけた仏教を継承しているからだといわれており、またインドで勃興しつつあったヒンドゥー教に当時の仏教が対抗しようとしたという背景もあったようです。

日本には、おもに中国仏教がはいってきており、チベット密教はほとんどつたわっていないとかんがえられます。

東京国立博物館・東洋館では、これ以外に、インドの仏像、中国の仏像も展示しており、それぞれの仏像を比較してたのしむことができます。おなじ仏像でも随分ちがいます。日本の仏像の見え方もちがってきます。

インド北部でおこって日本にまでつたわってきた仏教の大きな潮流を、それぞれの仏像をとおして地理的・空間的にとらえなし、また想像することができるとおもいます。


▼ 注1
博物館でアジアの旅(マジカル・アジア)
東京国立博物館・東洋館
2017年9月5日~10月15日
※ 写真撮影は許可されていました。

▼ 注2
チベットの仏像と密教の世界(東京国立博物館・東洋館)