IMG_5647b
立体か? 錯覚(錯視)は誰にでもおこります。

IMG_5649b



IMG_5658b



これらの写真は立体を撮影したものでしょうか? 

これらは立体(3次元)にみえます。しかしそばによってみると、さわってみると、平面(2次元)にえがかれた絵であることがわかります。これらはトリックアートあるいは「だまし絵」です。くらしきトリックアート迷宮館で撮影しました。

しかし普通の絵画でも、3次元にみせる工夫は普通におこなわれています。トリックアートから絵画芸術まで連続しています。実際には、3次元にみせる工夫は世の中の随所に存在します。

わたしたち人間は、目にはいってきた光の情報を脳におくり、それを脳で処理して画像を成立させています。脳では、情報の解釈もおこなわれます。この過程でエラーが発生すると、本当は2次元のものが3次元にみえてしまいます。これは錯覚(錯視)といってよいでしょう。

トリックアートや絵画の場合は錯覚をたのしむということでよいとおもいますが、車を運転するときやスポーツの試合ではどうでしょうか。車の運転中にも錯覚がおこることが知られています。事故につながりかねません。あるいはスポーツでは、どんなに訓練をつんだ審判でも錯覚がさけられないことが知られています。どういう場面で錯覚がおこるかについてもデータが蓄積されてきており、誤審をさけるためにビデオ判定が一般的になりつつあります。あるいは自然科学の研究では、目による観察だけだと錯覚がおこるので定量的な計測もするようにします。

錯覚は誰にでもおこります。おもいこみのつよい人、固定観念をもっている人、情報のインプットがうまくできない人ほど錯覚をおこします。トリックアートは、このことと冷徹な観察が必要なことをおしえてくれています。


▼ 関連記事
脳の情報処理の仕組みを理解する 〜DVD『錯覚の不思議』〜
視覚効果と先入観とがくみあわさって錯覚が生まれる - 特別企画「だまし絵 II」-
平面なのに絵が飛び出す - 目の錯覚を利用した3Dアート -
錯視や錯覚を実験する -『錯視と錯覚の科学』-
錯覚の実験を通して知覚を自覚する - 一川誠著『錯覚学 知覚の謎を解く』–
遠近のひろがりのなかで対象を見る - だまし絵からまなぶ -
次元を変えると見えてくる - ケイガン作「トカゲ」-
対象の空間配置を正確にとらえる -「重力レンズ」からまなぶ -
錯覚に気がつく - フィービ=マクノートン著『錯視芸術 遠近法と視覚の科学』-
錯視を体験する - 数理の国の錯視研究所(日本科学未来館)-
三次元を表現する -「レオナルド x ミケランジェロ」展(三菱一号館美術館)-