老化は、20代から着実にはじまることを自覚して、物忘れ・筋力低下・骨粗鬆症などを予防する努力をしなければなりません。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.8号』のシリーズ「生物の宿命」では「老化」について解説しています。人間は誰もが宿命をもって生まれてきます。宿命について、人生論的・哲学的にかんがえるだけでなく、科学的に追究することはとても重要なことです。宿命をうけいれられるようになるかもしれません。

物忘れをふせぐには、


物の名前を覚える際には、単に単語を覚えるだけではなく、連想ゲームのように何かと関連づけて覚えると良いでしょう。すでに脳に存在する記憶と関連付けることで、記憶が定着しやすくなります。


すなわち五感をはたらかせて、対象だけでなくその周囲もよくみて、いろいろな情報を関連づけて情報のネットワークをつくっておくとよいということです。すると必要な記憶をひっぱりだす回路が複数できるので、老化によってある経路で記憶がひっぱりだせなかったとしても、ほかの経路からおもいだすことができるのです。




筋肉の老化をふせぐには、


年をとると、一度減った筋肉をきたえ直すことが難しくなるため、日常的にさまざまな動きをして、速筋・遅筋、両方の筋肉が減らないように保つことが大事になります。


たとえば子供は、かけまわったり、とんだりはねたり、無駄な動きをすることが多いです。無駄な動きはさまざまな筋肉をつかうことになるので、筋肉の老化防止になります。老化防止のためにはバランスのよい運動が必要です。




骨粗鬆症(こつそしょうしょう)をふせぐには、


骨の材料となるカルシウムやリン、ビタミンDやビタミンKなどを十分摂取することが重要だ。(中略)若い頃にある程度骨を蓄積しておけば、骨粗鬆症の予防につながるでしょう。


加齢による骨量の低下はさけられません。わかいときから注意する必要があります。




人間の体は、20代から着実に老いはじめるといいます。老化は老人だけの問題ではありません。老化は、死にいたるよりもかなり前から誰もが直面する問題です。老いは、わたしたちの体を構成する細胞ひとつひとつの老化のつみかさねです。老化はさけられませんが、それを自覚し、それをおくらせる努力はできます。老化を自覚することがまずは重要でしょう。


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▼ 参考文献
『Newton 2017.8号』ニュートンプレス、2017年6月26日