大地震の起こる間隔は不規則です。日本列島のどこにいても不意打ちで大地震はおそってきます。いまからそなえておくことが必要です。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.8号』の FOCUS では、「超大型の関東地震は、従来の想定より頻繁におきていた!?」と題して、大地震にそなえるように警告しています。




関東地方を襲った巨大地震として多くの記憶が残っているものは、1923年の「大正関東地震(関東大震災)」と、1703年の「元禄関東地震」だ。(中略)

東京大学と産業技術総合研究所のグループは、千葉県佐倉地域の地質調査をおこなった。(中略)

元禄型関東地震の発生間隔は、最短で500年、最長で2800年と大きなばらつきをもつことが明らかになった。


研究グループは海岸段丘の地質調査をしました。大地震は、地下深部にしずみこむプレート(岩盤)のひずみが解消されることによっておこるため、そのとき地上では、海岸の地面が隆起します。この隆起によってできた段丘が海岸段丘です。したがって海岸段丘ができた年代をしらべれば大地震がおこった年代もわかるのです。

今回の調査により、「一定の周期で大地震がおこる」というこれまでの認識はくつがえされました。大地震はくりかえしおそってきますが、その間隔は一定ではないのです。したがって大地震の予知(大地震がおこる場所・日時・規模の予知)はできません。地震予知ができない証拠がまたひとつふえました。今回は、地質学の観点からそれがしめされました。

地震学者たちは、地震予知ができないことを素直にみとめなければなりません。研究費を獲得するために、地震予知が将来はできるみたいなことはいわないほうがよいです。

地震予知はできないのですから、日本列島のどこにいても不意打ちで大地震がおそってきます。東日本大震災や熊本地震もその例でした。

しかしそなえることは誰にでもできます。いまからそなえておくことが必要です。

そもそも地震災害では、地震そのものではなく、倒壊する建造物の下敷きになったり、火災にまきこまれたり、津波などによって人命がうしなわれます。地上でおこることを想定してそなえることが大切です(注)。


▼ 注
地震学者たちはかつて、「つぎの大地震は東海地震である」といいました。そして前兆現象を検知すれば、数日以内の発生を予知できるとしたのです。前兆を検知すると、大規模地震対策特別措置法にもとづいて警戒宣言を首相が発令することになっています。

ところが東日本大震災がおこってしまったのです。地震学者たちは失敗を素直にみとめなければなりません。現在、大規模地震対策特別措置法の見直しがすすめられています。

予知はできなくても備えはできます。地震の観測網整備に巨額な予算をあらたに投じるよりも、たとえば家の家具を固定する金具やストッパーに、あるいは倒壊が予測できる家屋の補強に、耐震シェルターの普及などに予算を投じたほうがよいのはもはやあきらかです。

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▼ 参考文献
『Newton 2017.8号』ニュートンプレス、2017年6月26日