計算あるいは数学的訓練をしてプロセシング能力をたかめることが重要です。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.8号』では、「深遠なる数の世界」第1回として「素数の神秘」をとりあげています。



素数とは、「2以上の整数のうち、1と自分自身でしか割ることのできない数」のことです。2以上のあらゆる整数は、素数のかけ算(積)に "分解" することができます。つまり素数は、整数の "元素" ともいうべき数なのです。


2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97・・・が素数です。

素数の実用事例としては、たとえばインターネットで情報を暗号化しておくる際につかわれる「RSA暗号」に素数がつかわれています。カード番号などを暗号化するときに「公開鍵」と「秘密鍵」がつかわれ、公開鍵は2つの整数でできており、店のコンピューターから誰でも入手できます。秘密鍵は、暗号をカード番号にもどすときにつかわれ、店のコンピューターに保管された2つの巨大な素数できています。公開鍵のうちの一方の整数は、秘密鍵の2つの巨大な素数の積です。こうして番号は暗号化されて送信され、店では暗号を元にもどすことができるのです。

このような素数をつかった暗号は、テレビの有料放送や国家の機密情報の通信などにもつかわれているそうです。素数と暗号について知っておくことは、ネットショッピングなどをするときのセキュリティ向上のために役立ちます。




情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在として人間をとらえなおしたとき、計算あるいは数学的な訓練をすることはプロセシング能力を向上させることにつながります。一般的にいって、計算ができる人しかも はやくできる人はプロセシング能力がたかいです。プロセシング能力がたかくなると、結果として、よくできたアウトプットを数学にかぎらずほかの分野でもだせるようになります。

数学を、情報処理の観点からとらえなおすことはとても重要なことです。たとえば文科系の人が数学を何で勉強しなければならないのか。 学校教育でも自覚されるべき課題です。


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▼ 参考文献
『Newton 2017.8号』ニュートンプレス、2017年6月26日