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写真1 宇宙の階層構造をしめすパネル
(交差法で立体視ができます) 
宇宙は階層構造になっています。階層構造はもっとも基本的で重要な構造です。階層構造のイメージは、情報を整理したり記憶したり活用したりするときにつかえます。
国立科学博物館の地下3階には「宇宙を探る」展示があります。

ここでは、宇宙の階層構造を具体的にみることができます。写真1の4枚のパネルが階層構造をあらわしています。手前のパネルから奥のパネルへむかって、「太陽系」、「恒星・星雲・星団」、「銀河と銀河団」、「超銀河団」となっています。それぞれのパネルがそれぞれの階層になっています。

大きな構造の方からみると、超銀河団のなかに銀河団・銀河があり、そのなかに星団・星雲・恒星があり、そのなかにわたしたちの太陽系があります。

ここの展示コーナーをあるきながらそれぞれのパネルをみて、このような宇宙の階層構造をしっかりイメージするとよいです。ボーッとしながらあるいていると視覚的・空間的に工夫されたせっかくの展示パネルがいかせません。




太陽系は、太陽とそのまわりをまわる8個の惑星および多数の小惑星や彗星とそれぞれの惑星のまわりをまわる衛星とからなっています。

恒星は、巨大なガス球であり、核融合反応が中心でおこってエネルギーが生みだされているため光かがやいています。太陽も恒星のひとつです。

わたしたちの銀河は、太陽をふくめて約2000億個もの恒星があつまった大集団です。形は円盤状で、直径は10万光年です。宇宙では多数の銀河が観測され、どれもおなじような恒星の大集団です。銀河の大きなグループは銀河団とよばれ、直径は数千万光年で、数百〜数千の銀河があつまっています。小さなグループは銀河群とよばれます。

銀河団や銀河群がいくつもあつまった、1億光年から数億光年の大きさのグループを超銀河団とよびます。これとは逆に、1億光年ほどの大きさで銀河がほとんどない領域を超空洞(ボイド)とよびます。このように超銀河団と超空洞がいりまじった構造を宇宙の大規模構造とよびます。




階層構造はもっとも基本的で重要な構造です。階層構造のイメージは、情報を整理したり記憶したり活用したりするときにつかえます。そのための基礎となるイメージ訓練を国立科学博物館の地下3階でおこなうことができます。ここで重要なのは4枚のパネルです。それぞれの階層におけるこまかい展示・解説もありますが、それらはあとまわしにすればよいです。


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▼ 参考文献
『地球館ガイドブック』編集・発行国立科学博物館、2016年7月29日