存在しないことを証明することは不可能です。言葉だけの論理にだまされないことが大事です。
白鳥敬著『定理と法則 105』(学研プラス)は「悪魔の証明」についても解説しています。


悪魔の証明:存在しないことを証明することは不可能である。

「宇宙にブラックホールがある」ということを証明するためには、ブラックホールを一個見つければ証明できますが、「宇宙にブラックホールは存在しない」ことを証明するためには、全宇宙を探してどこにも絶対にないことを確認しなければなりません。これは事実上不可能です。


あるいは北海道の地層からダイヤモンドが発見されたことはありませんが、本当に存在しないのか? 探査が不十分なためではないか? これから本格的に探査すればでてくるかもしれない。

このように存在しないことを証明するのは不可能です。これを「悪魔の証明」といいます。

あるいは理化学研究所が研究した「STAP細胞」は、再現実験に失敗して存在しないということになりましたが、ここにも「悪魔の証明」が実はあるのです。

多くの人々は「悪魔の証明」について知りませんが、知っておいたほうがよいです。

たとえばこんな論争をきいたことがあります。


「あなたは、お金をもらったでしょう」
「もらっていません」
「だったら、もらっていないことを証明してください。その証拠をだしてください」


これはきわめてアンフェアな質問の仕方です。相手の反論を封じて、相手をおいつめようとしています。悪質な商売でつかわれることもあります。疑似科学でもつかわれることもあります。

言葉だけで構築した論理をきかされると矛盾がないように感じることがありますが、「悪魔の証明」を理解し、だまされないようにすることが大事です。


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▼ 参考文献
白鳥敬著『定理と法則 105』(人に話したくなる教養雑学シリーズ)学研プラス、2013年9月11日