宇宙最古の光である宇宙背景放射を分析することにより、宇宙創生の謎にせまることができます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.4号』では、「宇宙創生の光」と題して、138億年の時をこえて地球にとどく太古の光、「宇宙背景放射」を特集しています。

宇宙背景放射は、誕生して間もない頃の宇宙で発せられ、138億年のときをこえて現在の地球にふりそそいでいる電波だとかんがえられています。この電波を分析することで、宇宙の成分や年齢、宇宙創生の謎を解明することができます。



ガモフとその共同研究者らは、「大昔の宇宙は高温だったため、宇宙全体が光り輝いていた。そのときの光のなごりが、宇宙が膨張して冷えてしまった今でも宇宙空間にただよっている」と予言しました。この「今も宇宙にただようビッグバンのなごり」こそ、宇宙背景放射の正体なのです。

宇宙を観測するときに注意しなければならないことがあります。(中略)「遠くの宇宙を見ることは、昔の宇宙を見ることになる」のです。


光の速度は秒速約30万キロメートルであり、光が地球にとどくまでには距離に応じた時間がかかります。遠方であればあるほど地球に光がとどくまでには時間がかかります。宇宙背景放射は、ビッグバンの光が、地球からとおくはなれた場所から138億年かかってようやく地球にとどいた「宇宙最古の光」です。

したがって宇宙背景放射は、宇宙誕生直後の宇宙の情報をわたしたちにとどけてくれることになります。

宇宙背景放射を分析した結果、原子などの既知の物質は、全宇宙の成分の 4.9% しかないことがわかりました。そして 26.8% が正体不明の物質「ダークマター(暗黒物質)」であり、のこりの 68.3% は正体不明のエネルギー「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」であるとかんがえられています。

  • 原子などの既知の物質:4.9%
  • ダークマター(正体不明の物質):26.8%
  • ダークエネルギー(正体不明のエネルギー):68.3%




すなわち宇宙は、わたしたち人間が知らない物質やエネルギーが大部分をしめているということであり、わたしたち人間は宇宙のごく一部しか認知できていないわけです。「すべてが原始でできている」というのもおかしいのです。

わたしたち人間は、感覚器官と観測機器をつかって宇宙の認識をすすめてきました。感覚器官とは、目に代表される、進化の過程で発達した身体器官であり、観測機器は、科学者・技術者があらたにつくりだした感覚器官を補完する機械です。

わたしたち人間は、このような感覚器官と観測機器によってえられた、非常にわずかな情報を処理して宇宙像をつくりあげているにすぎません。

感覚器官と観測装置には限界があることはあきらかであり、わたしたち人間が知っている宇宙は、いわば人間の「宇宙像」(イメージ)でしかなく、宇宙の本当の様子は実はわからないといえるでしょう。




『Newton』の今回の特集をみると、宇宙背景放射から宇宙創生の謎にアプローチしていく様子がとてもよくわかります。

本特集をみながら、いろいろとイメージをふくらませてみるといいとおもいます。いっときでも日常からはなれることができます。『Newton』はイメージ訓練の材料を提供してくれます。


▼ 参考文献
『Newton 2017.4号』ニュートンプレス、2017年4月7日発行