地形や景観の造形美のなかにフラクタルをさがしてみるとおもしろいです。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton 2017.4号』では、シリーズ:驚異の地形 第2回「水が育む驚異の地形」と題して、たえず変化をつづける水際の景観について解説しています。




たとえばつぎのようなおもしろい地形について紹介しています。


三角州
河川の蛇行と三日月湖
砂嘴(さし)
砂州(さす)
トンボロ
サンゴ礁
ブルーホール 

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三角州(デルタ)とは、河水のはこんできた土砂が河口付近に堆積してできた扇形の砂地のことです。 砂嘴(さし)とは、沿岸流によってはこばれてきた砂礫が入り江や湾口に堆積し、岸から海中へ堤状になってつきでた地形です(図1)。砂州(さす)とは、砂嘴(さし)がさらにのびて、その先が入り江や湾の対岸に達した、あるいはほとんど達した地形です。トンボロとは、陸地にちかい離れ島と陸地とをむすぶ砂州のことです。 

170306 砂嘴
図1 砂嘴のモデル(上の根元が陸の岸)


旅行先で、地形や景観のうつくしさに感動することがよくあります。自然の造形美には本当におどろかされます。

わたしは、自然の造形美の本質のひとつにフラクタルがあるとかんがえています。フラクタルとは、部分と全体とが自己相似になっている構造のことであり、全体の一部分を拡大すると、おなじようなくりかえしがあらわれる「自己相似性」をもつパターンのことです。図1にもフラクタルがあらわれています。三角州にもフラクタルがみられます。

フラクタルを前提にすると、全体をみて部分を類推したり、部分をみて全体を類推することができます。類推は、あらたな発見や発想にむすびつくことが多いです。

地形や景観をみてそのうつくしさに感動したら、さらに一歩ふみこんでフラクタルをさがしてみるとよいでしょう。

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▼ 参考文献
『Newton 2017.4号』ニュートンプレス、2017年4月7日発行