ある国について知ろうとおもったら、その国の歴史的な都市についてしらべる「ボーリング」方式をもちいるとよいです。
北アフリカにモロッコ王国という国があります。この国の最大の都市はカサブランカであり、カサブランカは、この国の歴史を理解するために重要な都市です。
カサブランカの歴史の概略はつぎのとおりです(注1)。
カサブランカの歴史の概略はつぎのとおりです(注1)。
- 紀元前10世紀:ベルベル人がアンファに定住する。
- 紀元前7世紀頃:フェニキア人と交易する。
- 紀元前5世紀頃:ローマ人と交易する。
- 7世紀:アンファを中心とした独立国家を形成する。
- 1188年:イスラム・ムワッヒド朝の支配を受ける。
- 14世紀:マリーン朝によりイスラムへ改宗される。
- 15世紀:アンファが再び独立する。
- 1468年:ポルトガルがアンファを焼き払う。
- 1515年:ポルトガル人にアンファ再建、"Casablanca" と名付ける。
- 1755年:大地震によりポルトガル人が去る。
- 1770年から:アラウィー朝モロッコ・ムハンマド3世によって町が再建、要塞化される。
- 18世紀から:スペインと交易する。
- 19世紀から:ヨーロッパ列強諸国と交易する。
- 1907年:暴動が発生、フランス軍がカサブランカを占領する。
- 1912年:フランスの保護領になる。
- 第二次世界大戦中:当初は親独政権の支配下、そのご連合国軍に占領され、自由フランスに復帰する。
- 1956年:モロッコがフランスから独立する。
たとえばモロッコという国について知ろうとおもったら、まず、Google マップや Google アースで地球上の位置をしらべます。
つぎに、その国のなかで歴史的にみてもっとも重要な都市を選択して、その都市の歴史をしらべます。現在の首都である必要はありません。たとえば日本だったら東京ではなくて京都になります。
そしてその都市の歴史を指標にして、その国あるいはその領域全体の歴史をしらべていきます。
このような3段階をふむと比較的短時間でその国について認識できます(図1)。
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国や地域や領域とは地理的・空間的にひろがっているものです。最初から、その国や領域全体の歴史を理解しようとすると、地理的・空間的に話があっちこっちにとんで、地理も知らないとわかりません。歴史に、地理が混在してきて話が複雑になるということです。
そこで歴史的に重要な都市を選択して、その都市の歴史をストーリー的に時系列にとらえておくとよいということです。
この方法は、地質学でいうところのボーリング調査をおこなうことに相当します。地表をひろく あるいてしらべていてもわからなかったことが、ある地点で、ボーリングをすることによって地層の重なり(上下関係)が一目瞭然になり、地質学的な歴史があきらかになります。
このような方法は「ボーリング」方式といってもよいでしょう。この「ボーリング」方式によってえられた「縦軸」は、全体的な認識をするときの指標(目印)としてつかえるわけです。
▼ 注1
ウィキペディアによります。映画『マリアンヌ』をたまたま見たのでしらべてみました。
▼ 注2
「ボーリング」をする都市は一都市である必要はありません。余裕があれば、複数の都市を「ボーリング」し、それぞれの歴史を対比してみるとおもしろいです。