小型の野生ネコの多くが絶滅の危機にあります。保護活動が必要です。

『ナショナル ジオグラフィック 2017.2号』では、「ひそやかなネコ」と題して、世界各地に生息する小型の野生ネコについて解説しています。ネコがすきな人はみておくべきでしょう。



地球上に31種いる小型のネコ科動物は、遺伝子解析によって七つの系統(注1)に分けられると判明。各系統の名前はそれぞれ最初に発見された種に由来する。チーターやピューマの体は大きいが、遺伝子学的に見ると小型種に近い。

有名な大型種には注目も保護資金も集まりやすいが、実際のところ、絶滅が最も心配されている18種のうち、12種が小型種だ。

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アジアとくに東南アジアでは、アブラヤシ農園の拡大などによる森林開発がすすみ、小型野生ネコの減少がいちじるしいです。

しかし、たとえばスペインオオヤマネコは世界でもっとも希少な野生ネコの一種であり、絶滅が危惧されましたが、人工飼育の個体を野生にもどし、おもな餌であるウサギの数を増やした結果、生息数はすくしずつ増えつつあります(注2)。

小型の野生ネコは用心ぶかくて姿をめったに見せず、人知れずひっそりと生きていることが多いため、調査や研究もすすんでおらず、保護の対象になりにくい現状がありますが、絶滅する前に手をうたなければなりません。ペットのネコをかわいがるだけでなく、野生のネコにももっと関心をもつべきでしょう。


▼ 文献
『ナショナルジオグラフィック 日本語版 2017年2月号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年1月30日

▼ 注1:小型ネコの系統
  • カラカル系統
  • オセロット系統
  • ボルネオヤマネコ系統
  • オオヤマネコ系統
  • ピューマ系統
  • ベンガルヤマネコ系統
  • イエネコ系統
▼ 注2
保護活動をすすめる場合、対象となる種だけを増やそうとしてもうまくいかず、餌の確保などもふくめて、その地域の生態系全体の保全を実践しなければなりません。

▼ 文献
『ナショナルジオグラフィック 日本語版 2017年2月号』日経ナショナル ジオグラフィック社、2017年1月30日