光は、粒子と波の性質をあわせもっています。物理学の研究成果を、人がおこなう情報処理にむすびつけて理解し活用することが大切です。

グラフィックサイエンスマガジン『Newton』(2017.2号)のでは「光の量子論 その正体は、粒子なのか? 波なのか?」と題して、光とはどのようなものなのかについて解説しています。



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アイザック・ニュートンは、光の正体は目に見えないほど小さな「粒子」であると考えました。一方、ニュートンと同時代の物理学者、クリスティアン・ホイヘンスは、光の正体は「波」であると考えました。(中略)その後100年以上も結論が出ませんでした。そしてとうとう、1800年頃、物理学者トマス・ヤング行った実験により、光が波であることを示す決定的な証拠が得れれたのです。(中略)

ところが、アインシュタインは、1905年に発表した「光量子仮説」で、光が粒子としてふるまうことがあることを示しました。


光の正体は粒子なのでしょうか? それとも波なのでしょうか?

物理学者ヤングは、二重スリットをとおった光をスクリーンにうつすと、あかるい部分とくらい部分がならんだ「干渉像」があらわれることを実験でしめしました。これは、二つの波がたがいにかさなりあって、強めあったり弱めあったりする現象です。この実験により、「光の波動説」が支持されるようになりました。

しかしアインシュタインは、「光電効果」という現象の原理を説明するにあたって、「光は粒子のような性質をもっている」とかんがえ、「光量子仮説」をとなえました。光電効果とは、金属板に光をあてると電子がとびだす現象です。光量子仮説では、光には、最小の粒「光子(光量子)」があり、光子1個のもつエネルギーは、波としてみたときの「振動数」に比例しておおきくなるとかんがえます。

現在では、「光は、粒子と波の性質をあわせもつ」とされています。

そして物理学者ボルンは、「ある場所の波の揺れ幅(振幅)は、粒子がそこに出現する『確率』と関係している」という「確率解釈」を提案しました。光源からでた光子は、観測されないかぎり(見ていないときは)波としてふるまい、観測すると(見ると)粒子としての姿をあらわすということです。波の形は、「光子の出現する確率が高い所」をしめします。




それでは見るということはどういうことでしょうか?


眼の奥の網膜という部分に光が当たると、網膜から視神経、そして脳へと信号が伝わり、私たちは「見えた!」という認識に至ります。


眼の網膜のなかの細胞は「視物質」とよばれる物質をもっていて、その分子は、光のエネルギーを吸収して変形します。すると細胞内に信号の流れが生じ、信号は視神経をへて脳につたわります。そして信号が脳で処理されて、3次元の画像(イメージ)がつくりだされて、そこにある物が何であるかを認知します。これが見る仕組みです。

すなわち見るということは、眼球のなかの網膜が光の粒子をうける場面(インプット)と、信号を脳が処理する場面(プロセシング)の2段階になっているのです(図1)。

161229 光の粒子
図1 見る仕組み


たとえばあなたがゾウを見たとします。そのとき、ゾウの画像(イメージ)そのものが眼のなかの網膜にうつっているわけではありません。網膜には、ゾウに反射した光の粒子が到達しているだけです。ゾウの画像(イメージ)をつくりだし、それがゾウだと認知するのは脳なのです。眼はセンサー、脳はプロセッサーとかんがえるとわかりやすいかもしれません。

このことはステレオ写真をつかった立体視の実験でもたしかめることができます。立体画像(3Dイメージ)は眼ではなく脳がつくりだしているのです。

このように、今日の情報化時代では、物理学の研究成果を、わたしたち人間の情報処理の仕組みとむすびつけて理解し活用することが大切です。たとえば見る能力を高めようとおもったら、光の正体を理解するとともに、眼と脳の能力をともに高めることが重要です。


▼ 引用文献
『Newton 2017年 2 月号』ニュートンプレス、 2016年12月26日

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