旅行などに行ったらフィールドワークをおこない、感覚を総動員して、現地の具体物を通して認識をふかめるようにします。

民族学者のレヴィ=ストロースは、「抽象的な概念によって物事を理解しようとするのではなく、この世界に満ちあふれている具体物をもちいて思考する、感覚的な能力を総動員しながら世界を知的に認識していく」方法を提唱し、これを「野生の思考」とよびました。

野生の思考を再生する - 100de名著:レヴィ=ストロース『野生の思考』- >>

これは、より実践的にとらえなおすとフィールドワークの方法であるといってもよいでしょう。実際、レヴィ=ストロースをはじめあらゆる民族学者はフィールドワークをおこなって思考し認識しているのです。

フィールドワークの方法では、たとえば旅行などに行ったら、現地の具体的な物、現地の具体的な情報、現地での具体的な体験などをくみあわせて統合し、認識したり判断をしていきます。

わたしたちは、学校教育や教科書などによって抽象的な概念をすでにうえつけられているので、概念的に物事をとらえてしまう傾向がありますが、フィールドワークは実際にやってみるとそれよりもはるかにおもしろいということがわかります。




ポイントは、レヴィ=ストロースものべているように感覚を総動員することです。感覚とは、感覚器官をつかって現地の情報を内面にインプットすることです(図1)。

161224 感覚
図1 感覚を総動員してインプットする


たとえば目をつかって現地の風景や物をしっかり見るようにします(視覚)。あるいは食事は現地の料理を食べるようします(味覚)。現地をあるきながら、あるいは食事をしながら匂いや香りを嗅ぐようにします(嗅覚) 。現地の人々の話を聞いたり、自然の音を聞きます(聴覚)。気温や湿度、風などを肌で感じるようにします(皮膚感覚)。

  • 視覚:現地の風景や物を見る
  • 味覚:現地の料理を食べる
  • 嗅覚:現地や料理などの匂いや香りを嗅ぐ
  • 聴覚:現地の人々の話や自然の音を聞く
  • 皮膚感覚:気温や湿度、風などを肌で感じる

このように感覚を総動員して情報を内面にとりいれていると認識をあらたにすることができます。このようなことは日常よりも旅行に行ったとき、とくに海外に行ったときにやってみるとおどろくべき効果があがります。わたしも、ネパールなどにかよってフィールドワークをおこない、認識をあらたにすることができました。

フィールドワークは、通常の観光旅行からさらに一歩ふみこんでみるところからはじめられます。たとえばエコツアーやスタディツアーに参加してみるのもよいでしょう。