アドラー心理学では、「承認欲求」からの解放、「自己受容」、「課題の分離」などを説いています。あなたの人生を決めるのはあなたです。

NHK・Eテレ「100分 de 名著」で、アドラー『人生の意味の心理学』をアンコール再放送しています。『嫌われる勇気』などで多くの人々に日本でも近年うけいれられている「アドラー心理学」の入門編です。


他者からよく思われないことを怖れて、他者の期待を満たそうとする人は、自分の人生ではなく、他者の人生を生きることになってしまいます。(中略)しかし、自分の人生を生きる決心をすれば、他者から承認されようとも思わないでしょうし、承認される必要がなければ、承認する他者に依存する生き方をしなくてすむわけです。

他方、もしも自分が他者の期待を満たすために生きているのでないとすれば、同じ権利を他者にも認めなければなりません。他者も自分の期待を満たすために生きているわけではないということです。このように考えれば、他者が自分の思いどおりのことをしないとしても、そのことを不愉快に思ったり、憤りを感じることはなくなります。


父親や母親・祖父母・先生・上司などの期待をみたすためにあなたがもし生きてしまったら、あなたは本当の自分をすてて他者の人生を生きてしまうことになります。他者にみとめられたい、他者からほめられたい、他者から高い評価をえたいという欲求から解放されよとアドラーはおしえます。

まずは、ありのままの自分をうけいれることです。ありのままの自分はよくないかもしれませんが、現実の自分を出発点にするしかありません。「自分は特別によくなくても、悪くなくてもよい」とかんがえることがポイントになります。

そして自分の人生の課題は自分自身で解決していくしかありません。他者の人生の課題はその他者自身で解決していくしかありません。「これは私の課題、これはあなたの課題」というように、何が誰の課題なのかということをはっきりさせなければなりません。

こうして、「承認欲求」から解放され、「自己受容」を実践し、「課題の分離」をしていけば、対人関係はおどろくほどシンプルになり、無駄な競争から自由になれます。

あなたを変えるのはあなた以外にありえません。あなたの人生を決めるのはほかならぬあなた自身です。他者がどうかではありません。決めるのは、あなたです。

NHKテキスト『100分 de 名著 人生の意味の心理学』はアドラー心理学の入門編としてとてもよくできていてわかりやすいです。類書とあわせて読んでみるとよいとおもいます。


▼ 引用文献
日本放送協会編 NHK 100分 de 名著 アドラー 『人生の意味の心理学』(NHKテキスト)NHK出版、2016月9月25日

▼ 関連書
岸見一郎・古賀史健著『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』ダイヤモンド社、2013年12月13日

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