日本人にとってむずかしい限定詞も、イメージをつかえば容易に理解でき、つかいこなせるようになります。

日本人が英語を習得するうえで限定詞はとくにむずかしく感じられます。限定詞は、文脈にそった具体的な意味や数量に名詞を限定するはたらきをもちます。大西泰斗・ポール=マクベイ著『一億人の英文法』(東進ブックス)ではこの限定詞についてもイメージをつかって説明しています。



たとえばつぎのような例があります(172ページと174ページ)。

This is the present that the gave me.
This is a present that he gave me.


これらについてはつぎのイメージで理解し、これらを記憶しておけばいいわけです。日本語訳で(日本語におきかえて)おぼえないようにします。

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その他、下記の項目についてもイメージをつかって解説しています。


A.限定詞なしの名詞
具体的なイメージを結ばない、うすぼんやりした表現。それが限定詞なしの名詞の特徴です。
1.〜というもの
Crows are highly intelligent birds but also a big nuisance!
(「カラスというものは・・・」というように、ゆるやかに全体をあらわす表現となっている。)

2.リストアップ

We need poster paper, marker, pens, and glue.
(品目だけが問題になっている場合。)


B.the
1.文脈から1つに決まる
I met Karen's boyfriend last night. The guy is not friendly.

2.その場の状況から1つに決まる
Close the door!

3.常識から1つに決まる
70% of the earth's surface is covered by water.

4.「1つ」を意味に含む語句
Chiaki Mukai was the first Japanese woman to travel into space.

5.「the + 複数」=1つに決まるグループ
Look at the penguins over there.
The Yamadas are moving to Indonesia.

6.the のネイティブレベル
(1) the の与える「光」
Sharon is the woman for the job.

(2)「ピン!とくる」the
John plays the flute and the clarinet.

(3) the + 形容詞(〜の人々)
The poor are getting poorer, and the rich are getting richer.

(4) the の類推
You can use the phone in my office.


C.a [an]
限定詞 a [an] のイメージの中核は「1つの」ではありません。「(特定のモノに)決まらない」という the と対照的なイメージをもっています。
1.話題に初めて登場させる
You know I bought a new iPod? Well, the thing keeps freezing up!

2.特定のモノを思い描いていない
I need to find a part-time job.

3.a の類推
She gave me a reason why she left him.
(理由はほかにもいろいろあるんだろう)




本書のイメージを見れば、日本語訳を読んでいたときよりも理解と記憶が飛躍的にすすみます(注1)。

本書は、イメージ訓練(心象法)と記憶法の練習のためにも役立ちます。英語を習得しながらこれらの訓練ができるのですから一石二鳥といえるでしょう。

心象法と記憶法は、一度コツをつかんでしまえば英語にかぎらずあらゆる分野の学習でつかえます。筆記試験や受験勉強にも役立ちます。人間がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)のなかのプロセシングに位置づけて実践するとよいでしょう。プロセシングの能力が強化されると、インプット能力とアウトプット能力もアップします。


▼ 文献
大西泰斗・ポール=マクベイ著『一億人の英文法』(東進ブックス)ナガセ、2011年9月30日 第2版発行

▼ 注1
イメージを見たりつかったりすることは視覚系の回路をつかうということです。視覚系の回路をつかいこなすことが情報処理のパフォーマンスを高めることにつながります。

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