160817c 都市国家
図1 都市国家のモデル

都市国家のモデルをつかって、情報処理をすすめ、自然環境と人間とが調和し、地域を活性化していくのがよいです。

都市国家とは都市を中心にして組織された国家であり、ローマ帝国のような領域国家が出現する前の古代の国家です。都市国家は帝国のような軍事国家ではなく、民主政を基本とした人間的な国家であったのであり、学問や芸術などのすぐれた文化を花ひらかせました。たとえばギリシャ各地に存在した都市国家がのこした遺産はおどろくべきゆたかなものであり、その後のヨーロッパ文明の発展に大きな影響をあたえました(注1)。

都市国家のモデル(模式図)は図1のようになります。

都市国家の中心には都市があり、その周辺には田園地帯が分布し、その外側には自然環境がひろがっていました。田園地帯は、都市と自然環境のあいだにあって緩衝帯として機能していました。都市の中核にはアクロポリス(丘の上の城塞)がありました。都市国家ではコミュニティが大切にされ、広場(アゴラ)もありました。それぞれの都市国家はひとつの生きもののような有機的な存在として機能していました。 




この都市国家のモデル(図1)は現代においても、たとえば日本の地方の自治体などの活性化のためにつかえます。地方の自治体はもちろん都市国家ではありませんが東京などの大都市にくらべればつかいやすいです。とくに、かつて城下町だったところではつかいやすいです。城下町とその周辺域は都市国家ではありませんでしたが地域の構造は都市国家とかなり似ていました。城下町の中心には、アクロポリスのかわりに城郭と天守閣がありました。その周囲には町がひろがり、その外側には田園地帯が分布していました。そしてさらにその外側には、山林や海などの自然環境がひろがっていました。

図1のモデルのポイントは、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)と自然環境との調和にあります。

周囲からとりいれた(インプットした)情報を都市内部にある情報とあわせて処理し、その土地らしいよくできた情報を外部へ発信(アウトプット)するようにします。また田園地帯や里山を、都市部と自然環境とのあいだにある緩衝帯として位置づけて再活性化し活用します。こうすれば都市部と自然環境との調和が可能になります。これらのことは観光客をよびこむためにも役立ちます。

こうしたことは実際にはすでにおこなわれているでしょうが、重要なことはモデルをイメージすることです。モデルを意識して、そしてかつての都市国家や城下町の事例を参考にしていくというやり方がよいでしょう。

 

 
古代ギリシャのすべての都市国家はマケドニア王国によってほろぼされました。マケドニア王国滅亡後はローマ帝国がギリシャ地域を支配しました。

ローマ帝国は、都市国家にくらべてはるかに巨大な軍事国家であり領域国家でした。同時にこれは本格的な文明のはじまりでもありました。そして領域国家と本格文明の歴史は現代にまでつづいているのです。

ここには、巨大な組織を維持していくための管理社会化と地下資源利用があり、これらのために人心の荒廃と環境破壊がいちじるしくすすみました。人間疎外と環境問題は第一級の問題に現代でもなっています。

これらの問題を解決するために個人主義の習得や鉱物資源のさらなる開発を提案している人がいますが、わたしは図1のモデルをつかった方がよいとおもっています。つまり情報処理能力の向上と、緩衝帯をつくって自然環境と人間とが共生するということです。


▼ 注1
特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」 
会場:東京国立博物館・平成館
会期:2016年9月19日まで
※このあと、長崎県美術館と神戸市立博物館に巡回します。

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