快眠は、記憶や学習、技能の習得、ストレス解消をもたらします。

白川 修一郎著『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)は、ビジネスパーソンが快適な睡眠をとるためにはどうしたらよいかについて睡眠科学の立場から書かれた入門書です。




睡眠と記憶・学習についてはつぎのように解説しています。


脳の前頭葉にはワーキングメモリーのシステムが存在します。ワーキングメモリーには記憶を一時的に保持して、適切な思考や行動につなげる働きがあります。さらに、状況に対応した記憶を引き出す仕事も行っています。また、前頭葉の前部帯状回皮質には、情報を取り込むために必要な注意を維持する役割があります。記憶の入口と出口に、睡眠は強く影響しています。

記憶の固定にも睡眠は関係しています。ノンレム睡眠には、ある時間や場所での出来事に結びついている記憶(エピソード記憶)や、本や教科書からの学習や知識のように時間や場所に依存しない記憶(意味記憶)のような陳述記憶(宣言記憶)を固定する役割があります。レム睡眠は、自電車や車の運転のように体で覚え、意識しなくても使うことができる記憶(手続記憶)の学習に関係しています。

記憶は、情報が保持される時間によっても分類されています。(中略)

長期記憶の整理と索引づくりには睡眠が関与しています。睡眠時間の不足や質の低下が続くと、短期記憶と近似記憶がまず障害され長期記憶の引き出しも難しくなります。(中略)

記憶の消去にも睡眠が関係しています。記憶強度の低いものから、また索引化が困難なものから睡眠中に消去されると推測されています。さらに、睡眠にはストレスになるその日の記憶を消去する働きもあります。


このように睡眠は、記憶や学習、技能の習得、ストレス解消のために大きな役割をはたしています。睡眠不足がつづいたり睡眠の質が低いと記憶も学習もすすまず、何をやっても効果があがらないということになります。

睡眠は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)のなかのプロセシングをすすめる基本的な過程です。快眠をえるためには、朝になったら光をあびて生体リズムをととのえるのが第一です。

日中おきているときに情報のインプットをしっかりおこなったら、あとは睡眠(プロセシング)にまさせましょう。そして起床したら、今度はアウトプットです。アウトプットは、インプットとプロセシングの成果をあらわすものととらえることができます。


▼ 引用文献
白川 修一郎著『ビジネスパーソンのための快眠読本』ウェッジ、2016年5月20日