160817c 都市国家
都市国家のモデル
 
東京国立博物館で開催されている特別展「古代ギリシャ」では、民主政を基盤とした文化創造について都市国家を例にしてまなぶことができます。

東京国立博物館・平成館で、特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」が開催されています(注1)。

特別展にいくまえに、その全体像をあらわした図解(見取り図)を大観しておくと、会場での体験や認識がとてもふかまります。


今回の特別展も、各展示物の空間配置とともに各展示室がよく工夫されていて、それぞれの時代の特色と時代の流れを体験的につかむことができます。

古代ギリシャでは、都市を中心にして都市国家が各地で組織されました。当時の様子をイメージするためには、〈都市-田園地帯-自然環境〉という構造と、物と情報の流れ(インプット→プロセシング→アウトプット)に注目するとよいです(注2)。このようなモデル(模式図)とともに、それぞれの展示品を会場で具体的にみていくと理解がすすむでしょう。

古代ギリシャの都市国家は民主政を基盤にして、技術・学術・芸術・医学・宗教などのすぐれた文化を花ひらかせました。

たとえばアリストテレスは、物事や情報のあいだにある類似性ということが理解と記憶と発想を生みだすとかんがえました。あるいはギリシャ演劇は人間の本質をえぐりだし、当時の市民社会にまたその後の西洋文明の成熟に大きな影響をあたえました。

一方でオリンピックも開催されました。オリンピックのはじまりは、都市国家エリスちかくのオリンピアで前8世紀にひらかれた競技祭です。このように物事の起源を知ることはその分野をトータルにとらえるために役立ちます。

古代ギリシャの都市国家で発達したさまざまな文化的側面は、現代文明にいたるまで息づいており、都市国家はまさに文明の萌芽であったといってよいでしょう。


このような都市国家は、そのご出現した帝国(領土国家あるいは領域国家)とはあきらかにちがいます。それぞれの都市国家は、一個の生きもののように独立した有機的存在でした。首都があって、それが地方都市をコントロールするという体制ではありません。

都市国家は、無機的機械的な領域国家とはちがいもっと人間的でした。規模がちいさく、人の顔がみえるのがよかったです。当時の都市国家の様子を想像してみると何だかなつかしい感じもします。

わたしたち現代人が都市国家の段階にもやはもどれるはずはありませんが、わたしたちが今後、民主政を基盤とした文化創造をもし目指すのであれば、都市国家からまなべることは多々あるとおもいます。

都市国家は古代ギリシャ以外にも、中東や南アジアや中国にも存在しましたが、これらのなかで当時の様子が比較的よくわかっているのが古代ギリシャの都市国家です。都市国家について理解するためには古代ギリシャをさけてとおることはできません。今回の特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」はそのためのまたとない機会になっています。


▼ 注1
特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」 
会場:東京国立博物館・平成館
会期:2016年9月19日まで
※このあと、長崎県美術館神戸市立博物館に巡回します。

▼ 注2
〈都市-田園地帯-自然環境〉という構造を基盤とした、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉という物・情報の流れにより都市国家の文化が創造されました。

▼ 参考資料
芳賀京子監修『古代ギリシャ 時空を越えた旅』(展覧会図録)、朝日新聞社・NHK・NHKプロモーション・東映発行、2016年6月21日

▼ 記事リンク
図解をつかって大観する - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(1)-
展示室をめぐって時代をつかむ - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(2)-
モデルをつかって都市国家の構造と機能をつかむ -「古代ギリシャ - 越えた旅 -」(3)-
都市国家の事例をみる - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(4)-
類似性をつかって理解し記憶し発想する -「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(5)-
オリンピックの起源を知る - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(6)-
古代ギリシャの演劇を想像する - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(7)-
古代ギリシャの医学の発展をみる - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(8)-
大観したら、事実をふまえて考える - 特別展「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(9)-
領域国家と比較して都市国家をとらえなおす -「古代ギリシャ - 時空を越えた旅 -」(10)-
都市国家のモデルをつかって地域を活性化させる -「古代ギリシャ - 越えた旅 -」(11)-