160524 情報収集
図1 情報収集をしたら要約・要点を書き出す
 
問題解決の第2段階では、主題にかかわる情報収集をすすめます。

問題解決において、主題を決めたら次におこなうことは情報収集です。

人がおこなう情報処理の観点からいうと、情報収集とは意識の内面に情報をインプットすることです。ここでも重要なことは、情報をインプットしたら、情報を処理して、要約あるいは要点を書きだすことです(図1)。これが情報収集の記録になります。情報をインプットしてもアウトプットをしないでそのまま放置しておくと情報処理は完結しません。

情報収集を実際にすすめるにあたってはつぎような3つのレベルがあるでしょう。

  1. 記憶の想起
  2. 間接情報の収集
  3. 直接情報の収集

1.記憶の想起
主題を決めると「そういえば」というように過去の記憶が想起されることが多いです。過去にあつめた(過去にインプットした)情報のなかで役立つものがあればつかうようにします。自分の書いた日記や報告書、保管されている資料などをとりだしてみてもよいです。主題を中心にして記憶をよびおこし、過去の記録をみなおすことをまずはやってみます。

2.間接情報の収集
簡単にできる情報収集としてはインターネットを利用する方法があります。あるいは電子書籍などの書籍を利用する方法があります。新聞や雑誌なども役立ちます。注意点は、これらの媒体からえられる情報はあくまでも間接情報であって、つぎにのべる直接情報ではないということです。つまり他人のフィルターを通った情報(他人が処理した情報)ですから使用にあたったは注意が必要です。

3.直接情報の収集
現地・現場にいって、自分の目で耳で直接みたり聞いたりして情報を収集します。いわゆる取材とかフィールドワーク(現地調査)とよばれる方法です。間接情報だけをつかって情報処理と問題解決をすすめるのはのぞましくありません。やはり、なまの情報(一次情報)をつかってみずから情報処理をすすめることが重要です。

たとえば旅行にいったときなどに、取材やフィールドワークを積極的にやってみるというのはひとつの方法です。




情報収集は、直接情報の収集まで徹底的におこなった方がよいことはいうまでもありませんが、実際には、時間・労力・予算などの制約があります。どこまでやるかは主題の重要度によるでしょう。

情報収集の一般的な注意点は、主題をめぐって全体的に情報を収集するようにすることです。特定の角度や何らかの仮説にはまずはとらわれずに、主題に関係がありそうな情報をすべてあつめるようにします。さがしものを明確にしないで、ひょっとすると関係があるかもしれないといった漠然としたあいまいさを重視します。このような姿勢こそが主題をめぐる状況あるいは実態の把握につながります。解決策の立案にいそがないようにします。


▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年
川喜田二郎著作集 (第5巻) KJ法―渾沌をして語らしめる

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