『数学の世界』(ニュートンプレス)をみれば、図をとおして視覚的に数学を理解したのしむことができます。

『数学の世界 - 知れば知るほど興味深い -』(ニュートンプレス)は見て理解する数学の本です。一般むけの本であり、数学の知識がなくても十分たのしめます。学校の授業とはちがう観点から数学をとらえなおすことができますので、数学を勉強している中高生はもちろんのこと、大人でも数学に興味がある人はひらいてみるとよいでしょう。


目 次
1 数学に強くなるキーワード(基礎編)
2 数学に強くなるキーワード(発展編)
3 数学をつくった天才たち
4 謎解き問題に挑戦しよう!
5 宇宙を計算してみよう


■ ゼロ
たとえば「ゼロ」についてみてみると、古代文明の多くはゼロをもっていませんでしたが、ゼロをつかった位取り記数法は、マヤ文明(紀元6世紀ごろ?)やメソポタミア文明(紀元前3世紀以前)で使用されました。しかしそのゼロはあくまでも空位をしめす記号であり、ゼロをつかった計算はおこなわれていなかったようです。数としてのゼロがつかわれたのはインドが最初であるとかんがえられています。インドでは筆算がよくおこなわれたいたことがゼロを誕生させた背景にありました。現代では、数学・科学のみならず社会の中でゼロはなくてはならない存在です。ゼロの発見は人類にとっての非常に大きな一歩になりました。


■ 解析幾何学
「解析幾何学」とは、座標をつかって、関数(数式)をグラフ(図形)であらわし(もしくは図形を数式であらわし)、図形の問題を数式でとく(あるいは数式の問題を図形でとく)分野であり、デカルトとフェルマーが創始したといわれています。


■ 確率・統計
「確率」はギャンブルからはじまりました。たとえば「サイコロを5回なげて、1が5回連続ででる確率はどれくらいか?」といった問題は確率の問題です。確率があつかう問題は、ある出来事がおこる確率を具体的に計算することだといえます。確率論をつかうと、予測不可能な出来事でも損得を計算することができます。

確率とセットのようにあつかわれる分野に「統計」があります。たとえば「サイコロを10回なげたところ、1が3回、2が1回、3が2回、4が2回、5が0回、6が2回でた。このサイコロはかたよりがないサイコロと考えてもよいだろうか?」といった問題は統計の分野にはいります。統計学とは、確率の理論にもとづいて、かぎられたデータから実際の現象の解析や分析をおこなう学問であるといえます。

現代では、天気予報や地震予測・噴火予測などで確率はおなじみです。またさまざまな領域でデータ処理に統計がつかわれています。現代社会を生きていくうえで、確率と統計の基本は、理科系の人にかぎらず是非とも理解しておきたいものです。


■ カオス・フラクタル 
近年 注目をあつめはじめた理論に「カオス」と「フラクタル」があります。原理はわかっているのに将来の予測ができない不安定な現象のことを「カオス」といいます。カオスは日本語では混沌という意味です。一方、全体の一部分を拡大すると、おなじようなくりかえしがあらわれる「自己相似性」をもつパターンを「フラクタル」とよびます。フラクタルは複雑な現象を解明するためのあたらしい枠組みを提供しました。カオスとフラクタルは、解析や予測が不可能とされてきたことを理解するためにつかえると期待されています。

たとえば大地震や火山噴火などの理解のために、これまでは確率・統計がつかわれてきましたが、これからはカオス・フラクタルをつかった方がよいのではないかとわたしはかんがえています。


■ 数学をつくった天才たち
第3章では「数学をつくった天才たち」が特集されており、ピタゴラス、ユークリッド、アルキメデス・・・など、14人の天才たちの業績やエピソードが紹介されています。数学の歴史とはそれをつくった人々の歴史です。本章では、人物の観点から数学をとらえなおすことができます。

 

数学は、現象を観測したり実験をしたりする必要のない、意識のなかだけで純粋にすすめることができる学問です。したがって人間の意識のひろがりや意識の内面でのプロセスを表現している分野であるとみなすこともでます。

日本の昔の学校教育では「読み・書き・そろばん」とよくいいました。現代では「そろばん」は「計算」といった方がよいでしょう。「読み・書き・計算」となります。人がおこなう情報処理の観点から再整理すると「読み→計算→書き」の順序がよいです。読みはインプット、計算はプロセシング、書きはアウトプットです。このなかの計算が数学です。したがって数学は、わたしたちの意識の内面ですすむプロセシングの基本的方法のひとつであるととらえることができます。数学の勉強は、プロセシング能力を高める訓練になるわけです。このような観点から本書を読んでみてもおもしろいとおもいます。

本書のように、ふんだんに図をつかってわかりやすく視覚的に数学を解説した本は少ないとおもいます。さすが『ニュートン』です。触発されることが多いです。
 


▼ 引用文献
『数学の世界 知れば知るほど興味深い』(Newton 別冊)ニュートンプレス、 2013年1月28日
数学の世界―知れば知るほど興味深い (ニュートンムック Newton別冊)