湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』の各単元はファイルであり、各単元の要約図はアイコンです。自分の意識(心)のなかに情報をファイルするように図を記憶していくと、情報の活用が容易になります。
湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1分野[物理・化学]&2分野[生物・地学])(文藝春秋)はとてもよく売れている中学理科の参考書です。 わかりやすい図をつかって理解し記憶していくところに最大の特色があります。
目次
生物
第1章 植物の生活と分類
第2章 人体のしくみ
第3章 動物の分類
第4章 遺伝と進化
第5章 自然と人間
地学
第1章 大地の変化
第2章 天気とその変化
第3章 地球と宇宙
本書の基本的なつかい方は下記記事のとおりです。
要約図を想起して書きだす - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1)- >>
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本書の各単元の構成はつぎのようになっています。
たとえば「1 花のつくりとはたらき」をみると、最初に「転写図」(要約図)がでています。
そのあとには「解説」としてつぎの項目についてのべています。
- アブラナの花のつくり
- タンポポの花のつくり
- マツの花のつくり
- 種子植物
- 受粉
そして「基本操作」についてのべています。
- ルーペの使い方
- 顕微鏡の使い方
最後に「例題」と「解答」がでています。
このように各単元は、全体を要約した図と、くわしい説明とから構成されています。全体の要約を言語ではなく図でおこなっているのが本書の大きな特色です。ここで単元を球にモデル化(図式化)してみると図1のようになります。
図1 単元のモデル
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情報処理の観点からみると、単元とは、情報のひとまとまりのことであり、情報のひとまとまりは「ファイル」とよばれます。単元を、ファイルとしてとらえた場合、本書にでてくる要約図は「アイコン」であるとみなすことができます。要約図のあとにつづく説明はファイルの中身であり情報の本体です(図2)。
図2 ファイルの構造
コンピューター・ファイルをみればわかるように、ファイルは、アイコンと情報の本体とから構成されていて、アイコンをダブルクリックあるいはタップすると情報の本体がよびだせる仕組みになっています。この仕組みが記憶法でつかえます。
本書の各単元は各ファイルであり、各単元の冒頭の図は、各単元を要約してグラフィックにあらわしたアイコンです。アイコンは、各単元の内容を要約してつくられたものですが、一方で、アイコンをしっかり記憶しておけば、情報の本体である本書の説明をひっぱりだせるようになります(おもいだせるようになります)。
このようにみてくると、単元を記憶するとは、ファイルをつくり、自分の心のなかにそれらをファイルしていくようなことです。コンピューターをつかった情報の処理・保存・利用法と人間がおこなう記憶法とは似ているわけです。
『図でわかる中学理科』(1分野&2分野、中1〜中3)には全部で 80 の要約図が掲載されています。つまり 80 個のファイルがあるのです。こららを心のなかにファイルし、そしてひっぱりだせるよになれば中学理科の基本は身についたことになります。理科の基本中の基本を身につけようとおおったら、まずは、本書の 80 の図を徹底的におぼえるのがよいでしょう。
▼ 関連記事
要約図を想起して書きだす - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(1)-
各単元を心のなかにファイルする - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(2)-
情報処理とファイルの方法 - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』(3)-
情報処理のしくみを理解する - 湯村幸次郎著『図でわかる中学理科』-
▼ 引用文献
湯村幸次郎著『図でわかる中学理科(1分野[物理・化学])』(改訂新版)(中1〜中3:未来を切り開く学力シリーズ)文藝春秋、2010年2月25日
図でわかる中学理科 1分野(物理・化学)―中1~中3 (未来を切り開く学力シリーズ)
湯村幸次郎著『図でわかる中学理科(2分野[生物・地学])』(改訂新版)(中1〜中3:未来を切り開く学力シリーズ)文藝春秋、2010年2月25日
図でわかる中学理科 2分野(生物・地学) (未来を切り開く学力シリーズ)