無意識のうちに睡眠は脳を活性化させ、情報を整理し記憶を促進させます。

古賀良彦著『睡眠と脳の科学』(祥伝社)は、人は眠るために眠るのではなく、活動するために眠るのだという立場から、睡眠中に脳が活性化することによって記憶力や運動能力が向上することについて、また快眠をえるためのテクニックについて解説しています。

目 次
第1章 睡眠のメカニズム
第2章 睡眠が脳を活性化させる
第3章 快眠できる環境を作る
第4章 ケース別の睡眠術
第5章 睡眠と病気の関係
第6章 急増中の「かくれ不眠」
第7章 症状でわかる睡眠障害
終 章 睡眠薬の種類と使いかた


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近年、睡眠と脳の研究によりつぎのことがわかってきました。

  1. 人は、活動するために疲れた脳や体を休ませ、心身のストレスを解消するために眠る。
  2. また、脳に入ってきたさまざまな情報を整理して、記憶としてとどめておくために眠る。
  3. さらに、睡眠が不足すると免疫力が低下して重大な病気を引き起こす。


わたしは、第2章「睡眠が脳を活性化させる」にとくに注目しました。
 
研究によりますと、起きているときの脳は情報をうけいれ、睡眠中の脳はデータを整理しているそうです。何をおぼえておかなければいけないのか、どの情報を消去するかが無意識に睡眠中に取捨選択され、脳は、「賢く記憶を選別している」とのことです。

起きているときに外界から情報をうけいれることはインプット、睡眠中にデータを整理し記憶することはプロセシングといってもよいでしょう。

起きているときにおもいついたアイデアや思考がなかなかまとまらなかったのに、一晩ねむったらまとまったという経験は多くの人にあるとおもいます。これは、プロセシングが睡眠中にすすんだことをしめしています。




したがって情報のインプットをしたら、その日は寝るというのが一番です。よい眠りができればプロセシングは自動的にすすみます。

このような立場にたつとインプットの仕方としては、 中途半端なインプットをして寝るよりも、課題をめぐって、区切りのよいところまでまとめて一通りインプットしてから寝た方がよいということになります。

たとえばインプットとして本を読むのであれば、やや不十分でもよいので最後まで読み終わってから寝た方がよいのです。その方がプロセスングで情報もまとまりやすいです。時間がなくて最後まで読みおわれない場合でも、どこか区切りのよいところまでは読んだ方がよいです。このことは、筆記試験や資格試験のための勉強をするときにもいえることです。

本書には、よい眠り(快眠)のための具体的なテクニックも紹介されています。快眠をえて、脳を活性化し情報処理を是非すすめてください(図1)。 

160417 脳を活性化
図1 睡眠により脳が活性化する
 


▼ 引用文献
古賀良彦著『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)祥伝社、2014年2月10日
睡眠と脳の科学(祥伝社新書)

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