原発事故によって放出された放射性物質による健康被害では内部被曝についても注意しなければなりません。

山口幸夫著『ハンドブック 原発事故と放射能』(岩波書店)では原発事故によって放出された放射性物質について、体のどこに何がたまるかを解説しています(下図)。


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体にたまる放射性物質(84ページ)


1986年4月26日、ソ連(当時)のウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所の4号炉(出力100万キロワット)が爆発し、原子炉中の放射性物質が大量に放出され、日本をふくめ北半球全域でそれが観測されました。この事故で多くの人々が被爆し、とりわけ内部被曝の影響が深刻です

X線の発見以来、放射線の害はしだいに知られてきましたが、それはおもに外部から放射線をあびる外部被曝についてでした。しかしチェルノブイリ原発事故によって内部被曝に関する調査がはじめておこなわれるようになりました。内部被曝とは、食べのもや飲みもの、呼吸によって体の中に放射性物質をとりこんでしまい、それが体内の臓器にとどまって放射線をだしつづけて被曝することです。

調査の結果、ヨウ素131は甲状腺に、セシウム137は筋肉に、ストロンチウム90は骨にそれぞれたまりやすいことなどがわかってきました。

1997年に、ベラルーシで死亡した子供と成人の病理解剖の結果から、もっとも多くセシウムがたまるのは子供たちの甲状腺であることが見つけられ、甲状腺にたまるのはヨウ素だけではなかったことがあきらかになりました。体内のどの部分にどの放射性物質がたまるかによってさまざまな影響がでてきます。

放射性物質による健康被害については知れば知るほど恐ろしくなるといった感じですが、実際には、何も知らない方がもっと恐ろしいです。科学的な調査結果をまずは理解しなければなりません。


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