地図上の特定の場所に情報をむすびつけて理解し記憶すると、さまざまな情報が活用できるようになります。
今回は、代表的な「負の遺産」(負の世界遺産 その2)を理解し記憶してみたいとおもいます。
ユネスコの世界遺産では、人類がおかした人種差別や虐待・ 虐殺、戦争などの過ちを「負」の記憶としてのこし、二度とおなじことをくりかえさないための教訓として「負の遺産」(負の世界遺産)を登録しています。未来への教訓として「負の遺産」を理解し記憶することはとても重要なことです。
5. ビキニ環礁 - 核実験場となった海
- 67回の核実験がおこなわれた美しい海 -
- 1946年から1958年にかけてアメリカは、マーシャル諸島共和国・ビキニ環礁で67回の核実験を実行しました。
- 核実験の破壊力の累積は広島に投下された原爆の7000倍におよびます。
- ビキニ環礁の自然環境や生態系、住民に甚大なダメージをあたえました。
- ビキニ環礁の底には、水爆「ブラボー」による直径2km の「ブラボー・クレーター」がのこります。
- 日本のマグロ漁船・第五福竜丸も水爆実験で被爆しました。
6. バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
- 破壊されたガンダーラ美術の傑作 -
- アフガニスタン北東部のバーミヤン渓谷には、1〜13世紀ごろにきずかれたおよそ1000者石窟遺跡が点在しています。
- 初期のガンダーラ美術の変遷の様子がうかがえます。
- 2001年、タリバン政権によって摩崖仏が破壊され、石窟内の壁画も8割が消失しました。
- 2003年、世界遺産に緊急登録され、同時に危機遺産リストにも記載されました。
7. ガーナのベナン湾沿いの城塞群
- ヨーロッパ諸国が支配権をあらそった黄金海岸 -
- ガーナのベナン湾沿いには、15〜18世紀にヨーロッパ人がきずいた城塞群がおよそ500kmにわたって点在しています。
- ガーナは、世界有数の金産地であったため、この海岸は「黄金海岸」(ゴールドコースト)とよばれました。
- 城塞内には、奴隷交易所や監獄のほか、象牙や真鍮(しんちゅう)や香辛料の交易所ものこります。
- 最盛期には60カ所あった建造物のうち3分の1が残存、博物館や学校として現在も利用されています。
8. クンタ・キンテ島と関連遺跡群
- ガンビア川の河口にある奴隷貿易の拠点 -
- クンタ・キンテ島は奴隷貿易の重要拠点であり、一帯は奴隷の供給地でした。
- 作家のアレックス=ヘイリーは、この地で奴隷になった先祖クンタ・キンテを主人公に『ルーツ』を著しました。
- クンタ・キンテはこの島から出航させられました。
- もともとはジェームズ島とよばれていましたが、2011年、クンタ・キンテ島と改名されました。
- バレン要塞、サン・ドミンゴ(交易のための建物群)、礼拝所の跡などがのこっています。
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世界遺産には、特定の場所と具体的な物が登録されています。したがって世界遺産をつかえば、抽象的な概念であっても特定の場所と具体的な物にむすびつけて理解し記憶することができます。
たとえば歴史的な出来事、思想、宗教、文化、自然の仕組みなどの抽象的な概念を場所と物にむすびつけて理解し記憶します。するとその場所とその物(のイメージ)を見ることによってその抽象的な概念がおもいだせます。場所と物は、情報のインデックスの役割をはたします。あるいは情報のシンボルとして機能します。
こうして世界各地の世界遺産を利用すると、言語だけで理解し記憶するよりもはるかに容易に世界について認識していくことができます。
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