今日、高性能なコンピューターである人工知能が発達してきました。これからのあたらしい時代は、コンピューターでできることはコンピューターでおこない、たとえば自分らしいアウトプットをするなど、人間にしかできないことは人間がおこなうようになっていきます。
 

松尾豊著『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書)は、人工知能の現況、コンピューターと情報化社会の今後の動向を知るためにとても役立ちます。


目 次
序 章 広がる人工知能 ー 人工知能は人類を滅ぼすか
第1章 人工知能とは何か ー 専門家と世間の認識のズレ
第2章 「推論」と「探索」の時代 ー 第1次 AI ブーム
第3章 「知識」を入れると賢くなる ー 第2次 AI ブーム
第4章 「機械学習」の静かな広がり ー 第3次 AI ブーム1
第5章 静寂を破る「ディープラーニング」 ー 第3次 AI ブーム2
第6章 人工知能は人間を超えるか ー ディープラーニングの先にあるもの
終 章 変わりゆく世界 ー 産業・社会への影響と戦略


人工知能といわれると何だか特殊な機能のように感じられますが要するに高性能なコンピューターのことです。




本書によりますと、現状では、人工知能は、決められた処理を決められたようにおこなうことしかできません。コンピューターは例外によわく汎用性や柔軟性がありません。「人間のように考えるコンピュータ」はできていません。

決められた処理を決められたようにおこなう処理とは、たとえば将棋・クイズ・入学試験・掃除・自動運転などがあります。これらのうち将棋・クイズ・入学試験などではコンピューターが人間の能力をうわまってきています。

たとえば入学試験では定型的な処理を要求されます。このようなことはコンピューターの方が人間よりも得意です。これからの時代は、コンピューターでできることはコンピューターでおこなうようになるでしょうから、現行の入学試験のようなやり方は歴史的にみて過去のものになっていくことはあきらかです。地名や年号を丸暗記していても意味がありません。生徒たちの勉強の仕方や筆記試験・入学試験のやり方は大きな変更を今後せまられてくるでしょう(注1)。




またコンピューターは言葉で書かれた文章の意味を理解したり、あたらしい知識を獲得することはできません(注2)。さらに人間の知能をささえるうえで重要である潜在意識や直観の領域にもコンピューターはアプローチできません。

結局、コンピューターは人間がつかう道具であると割り切った方がよいでしょう。




このようなことをふまえてわたしの展望(予想)をのべると以下のようになります。

コンピューターでできることはコンピューターをつかっておこない、人間にしかできないことは人間がやることになるでしょうから、決まり切った処理、答えが一つに決まるような問題はコンピューターでやり、人間は、コンピューターではできないことを重点的におこなうということになります。

たとえば情報処理をする存在として人間をとらえた場合、自分らしいアウトプットをするということがあります。

自分としては本当は何をまなびたいのかを明確にし、そしてどのように表現したいのか。何をアウトプットしたいのか。自分らしい個性あるアウトプットを想定して、インプットとプロセシングもおこなうようにします。芸術家とよばれる人々のやり方が参考になるでしょう。

コンピューターは、イメージをおもいうかべて言語を書き出すといったこともできません。イメージをつかって情報を検索することもできません。したがってイメージをつかってプロセシングをすすめ、言語をつかって書き出す(アウトプットする)といった方法も人間がおこないます。

またコンピューターは処理速度を速くすることをやたらに強調しますが、人間は、何でもかんでも速くやればいいというのではなくてプロセスをたのしむようにします。目的地につねに速く到達すればよいというのではなく、ゆっくりあるいていくことそれ自体をたのしみます。あるいは目的の達成という生き方から目的体系からの離脱という生き方へ転換します。



▼ 参考文献
松尾豊著『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書)KADOKAWA / 中経出版、2015年3月10日
人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) 

▼ 注1
現代では、ネットにつながっていない環境で仕事や情報処理をする人はほとんどいません。現行の入学試験のように、ネットにつながっていない完全閉鎖系での筆記試験も過去のものになりつつあります。

▼ 注2
そもそも言葉とは、言葉になる以前の、体験・イメージ・意味・メッセージなどを言葉という記号であらわしたものです。したがって言葉だけを解析していても、体験・イメージ・意味・メッセージなどの情報の本体は決してわかりません。言葉とは表面構造であり、情報の本体につけたいわば「ラベル」にすぎません。ラベルだけをいじくりまわしていても情報処理はできません。

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