東日本大震災後にはじまった「森の長城」をつくる活動は防災と環境保全とを両立させるプロジェクトとして注目に値します。

「森の長城」プロジェクトの2015年次報告書がとどきました(注)。


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「森の長城」とは「災害からいのちを守る森の防潮堤」であり、植物生態学者の宮脇昭さん(横浜国立大学名誉教授)が提唱したものです。現在、東日本大震災の被災地沿岸部において「森の長城」をきずくプロジェクトがすすんでいてわたしも参加しています。

平成27年の活動は次の通りでした。
  • 植えた本数:81,600本
  • 参加した人数:10,257人

森の長城プロジェクトには年間を通して次ような活動の流れがあります。
  • 秋:採種
  • 冬:育苗
  • 春〜秋:植樹
  • 夏〜秋:育樹

今年の植樹祭の予定は次の通りです。
  • 3月27日:福島県南相馬市
  • 5月28日:宮城県岩沼市
  • 8月上旬:岩手県山田町
  • 9月ごろ:福島県相馬市


東日本大震災では、青森県から千葉県までの海岸線が地震と津波によって壊滅的な被害をうけ、防波堤もクロマツ防潮林もダメになってしまいました。

しかし被災したクロマツ海岸林ではトベラやマサキといった広葉樹が生きのこりました。東北地方の海岸では、タブノキやシロダモといった常緑広葉樹を中心とした森がのこりました。このような教訓から、津波をのりこえて生きる広葉樹が混生する森こそが地域にもっとも適した防潮林だとかんがえられています。

森の長城プロジェクト設立から4年目をむかえ、これまでに2万5千人以上の人々が20万本以上の苗木を植樹してきました。

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▼ 注
『公益財団法人 瓦礫を活かす森の長城プロジェクト 2015年次報告書』2015年12月発行

▼ 参考文献