全体をみて、部分をしらべると、現象の本質にせまれます。
 
たとえば植物学者はある植物を肉眼で観察したら、その植物の葉をとりだしてみて、顕微鏡を今度はつかって葉の細胞などをくわしくしらべていきます。

このような顕微鏡による観察は、肉眼での全体的な観察に対して分析的な観察、分析的研究になります。全体を見てから部分に入るという順序がここにはあります。同様なことは動物学者や地質学者でもやっているでしょう。

あるいは地理学者は地形を肉眼で観察してから、双眼鏡を今度はつかって特定の部分を詳細にしらべます。これも同様なことです。双眼鏡で見ることは顕微鏡で見ることに相当します。

部分あるいは局所をくわしくしらべるにあたって、すべての部分をくわしくしらべることは労力的に不可能ですし、そのようなことをしても意味がありません。いくつかの部分を選択して狙い打ちにしていくことになります。

それでは狙い打ちにする部分をどのようにして選択すればよいか。このために肉眼で全体を見たことが効いてきます。第1段階として肉眼でマクロにしっかり見たかどうかが重要であり、この段階ができていると第2段階でミクロに見ることが効果的になるのです。ただ単にミクロの世界を知ればよいということではありません。

このように全体的な観察と分析的調査とは相互補完の関係にあり、部分をしらべると全体のとらえなおしができます。さらに、肉眼の世界がいままで以上によく見えてきて、今までわからなかった現象の本質にせまることもできます(下図)。

151226 全体
図 認識の3段階モデル