大英博物館展で世界史を概観したら、今度は、自分の興味のある時期や時代に注目するとよいです。

大英博物館展(注1)は、モノを通して世界史を概観できるまたとない機会であり、特定のモノに注目することによってその時代や背景について理解をふかめることができます。

大英博物館展あるいはそのガイドブックの全体を一通り見たら、今度は、とくに興味のあるモノあるいはその時代を選択して、その部分についてくわしくしらべてみます。そして注目した事柄について要約文を書いてみる(アウトプットしてみる)とよいです。これは考察をすすめることになります(下図)。
 

151215 世界史

図 概観し、特定の時期に注目し、考察する
 

要約するときには、概観でえられた全体像を背景あるいは前提にして要約を書くようにします。ここで概観したことが生きてきます。概観したことがある人とない人とで差がでてきます。

情報処理と問題解決の立場からいうと、概観した全体的な情報とはこのようにつかっていくものであり、それは単なる一般教養とはちがいます。

とくに仮説を立てるときには、概観や大観によってえられた背景や前提が枠組み(制約条件)となり、どのような前提をとるかによっておなじ事実を前にしてもことなる仮説がたてられることになります(注2)。


▼ 注1
「大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史」特設サイト
神戸市立博物館(2015年9月20日〜2016年1月11日)

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▼ 参考文献
『大英博物館展 - 100のモノが語る世界の歴史』筑摩書房、2015年3月25日
本書は展覧会場でも買えますが、一般書店でも販売しています。

▼ 注2
それぞれの「モノ」は、それがつくられた背景やそれが存在した時代という全体状況のなかでその価値や意義が決まっているということが本展を見学するととてもよく理解できます。つまり、「モノ」の価値や意義はその「モノ」単独で決まるのではない、「モノ」がただ存在するだけで価値や意義が生みだされるのではないということがわかります。したがって「モノ」をとりまく全体状況が変われば価値や意義も変わります。状況が変わったために存在価値を急にうしなったり、あるいは存在意義が急に生じたりすることはよくあることです。
※ 参考記事:自分の能力をいかせる場をさがす