プレートテクトニクスはこれからも継続的に機能するため、大地震や火山噴火はわたしたちをくりかえしくりかえしおそってきます。

是永淳著『絵でわかるプレートテクトニクス 地球進化の謎に挑む』(講談社)は大地震や火山噴火をひきおこすプレートテクトニクスについて解説しています。本書の副題にもあるように、プレートテクトニクスを地球進化の観点からとらえている点が興味ぶかいです。

目 次
第1章 地球はどんな構造をしているのか
第2章 プレートテクトニクスの発見
第3章 プレートテクトニクスはどのような現象か
第4章 プレートテクトニクスはいつはじまったのか
第5章 地球以外の惑星にもプレートテクトニクスはあるのか
第6章 プレートテクトニクスと生命環境
第7章 プレートテクトニクスはいつか終わるのか
第8章 プレートテクトニクス理論のこれから

プレートテクトニクスが地球史においていつはじまったのかということはまだよくわかっていませんが、「冥王代とよばれる今から46億から40億年前にすでにはじまっていた」という説があります。

一方、プレートテクトニクスはいつ終わるのかという疑問に対しては10億年後と説明しています。

プレート運動がおこるためには、地下数十 km の深さまで海水がしみこんで地表近くのマントルがやわらかくなる必要があります。水がしみこむことによりマントルとプレートの粘性が十分に低くなり地球内部で対流がおこりプレートテクトニクスが成立するということです。

ところで星の進化により太陽は輝き(光度)を次第に増していきます。太陽の光度が上がると地球の気温は上昇して、海水は蒸発していずれなくなってしまいます。それが計算によると10億年後ということになります。

したがって10億年後にはプレートテクトニクスは機能しなくなり、大地震もなくなります。

しかしこれは、人類にとってはとてつもなく非常に長い時間です。人類にとっては、プレートテクトニクスはなくなることはなく今後とも機能しつづけ、大地震や大津波や火山噴火はくりかえしくりかえしこれからもおそってきます。

地震活動や火山噴火は継続して今後ともなくならない以上、わたしたちは後世の人々のことまでかんがえて対策をたてなければなりません。自分が生きているあいだは何とかなるだろうということではいけません。原子力発電所などはできるだけはやく廃止する必要があります。


本書の記述はやや専門的でむずかしいです。木村学・大木勇人著『図解 プレートテクトニクス入門』(講談社)を読んでみて、プレートテクトニクスについてくわしくさらにまなびたいとおもったら読んでみるとよいでしょう。


▼ 引用文献
是永淳著『絵でわかるプレートテクトニクス 地球進化の謎に挑む』講談社、2014年5月30日
絵でわかるプレートテクトニクス 地球進化の謎に挑む (KS絵でわかるシリーズ)

▼ 参考文献
木村学・大木勇人著『図解 プレートテクトニクス入門』(ブルーバックス)講談社、2013年9月20日
図解 プレートテクトニクス入門 なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり (ブルーバックス)

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