データバンクのなかの記事を活用するために、得点主義にたった「多段ピックアップ」法をつかうと価値の高いデータ(情報)を迅速にひろいだすことができます。

ブログに記事を書き、データバンクが形成されてくると記事のさらなる活用が可能になります。たとえば、あるテーマについて文章を書く、プレゼンテーションをする、問題解決のために活用するなど。

そのためには、目前の課題のために必要な記事(データあるいは情報)をたくさんの記事のなかから選択しなければなりません。時間・労力・予算などの制約条件のゆるす範囲内で最善の結果をえるようなデータの選択はどのようにすればよいか。

そのために「多段ピックアップ」という方法があります。これはデータを切りすてるのではなく、長所を見つけてひろいあげる方法です。時間的に速いだけでなく質的にみのりの多い結果がえられます。


たとえば約300件の記事があり、ここから約30件の記事を選択するとします。

  • まず、300件の記事の見出しを表示させます。見出しを順次よみながら、「これは価値が高い、ひろいたい」と感じたものに印をつけていきす。最初は200件ぐらいをえらびだします。
  • つぎに、それら印をつけた約200件の見出しだけを見て、さらにひろいたいと感じだものに印を順次つけていき、約100件をえらびだします。
  • つぎに、それら印をつけた約100件の見出しだけを見て、さらにひろいたいと感じだものに印を順次つけていき約50件をひろいあげます。
  • 最後に、本当に価値が高いと感じられたものを約30件ひろいあげます。

そして、これをつかって文章化なり口頭発表などをおこないます。

ひろいあげるときに、「なんだか気にかかる」からひろうようにし、「こういう理由からひろっておくべきだ」というように理づめにならないようにすることが大切です。

この「多段ピックアップ」法は、多数の文献のなかから重点的に精読したいものをえらびだしたい場合などにももちいることができます。情報量が非常に多い時代にあって、自分にとって価値の高い情報をえらびだすための有効な方法です。


そもそも選択の仕方には減点主義得点主義の2つの原理があります。

たとえばここに100件の記事があり、ここから30件の記事を選択することにします。

  • (A)減点主義:100件の記事を読みながら欠陥を見いだし、70件の記事を切りすてます。すると無傷の30件がのこります。
  • (B)得点主義:100件の記事を読みながら、価値が高く活用すべきとおもわれるものを30件ピックアップします。

(A)の減点主義は欠点をさがす姿勢でとりくむやり方であり、学校のペーパーテストや入学試験のようなものです。それに対して(B)の得点主義はよいところを見いだす精神でとりくむのであり、プラス思考の行為を発展させます。

減点主義と得点主義とでは心の姿勢がまったくことなることに注意してください。情報の活用や問題解決という観点からは「多段ピックアップ」のような得点主義(プラス思考)にたった方がうまくいきます


▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる 

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