個体や個人を識別し、物事に名前をつけ記録することは観察をするどくする第一歩です。

たとえば、京都大学を中心とする日本のサル学者たちは、一匹ずつのサルの顔や体つきをおぼえ、一匹ずつに名前(固有名詞)をつけて識別しました。このやり方は「個体識別」とよばれます。

この「個体識別」による観察法によって、それまでの漠然たる集団観察ではなく、一匹ずつについてするどく観察がおこなえるようになり研究が飛躍的にすすました。

個体識別は、たとえばサルの親子関係・家族関係、ボスザルの存在、サルの順位など、サルとサルの間のさまざまな関係をあきらかにしていきました。このような座標軸的知識が個体識別によって形成され、またその座標軸的知識のおかげで、個体識別がますますやりやすくなるという仕組みがありました。

相手が人間の場合でもまったく同様なことができます。取材現場にいったら、現地の人々の顔と名前を徹底的におぼえます。この場合は「個人識別」といった方がよいでしょう。

物や事柄についても同様で、名前とともにそれらをおぼええることがするどい観察にとり大切な第一歩になります。現場の固有名詞をおぼえることはよいデータを得やすくします。現地あるいは現場の人とともにその現場をあるきまわって、片っ端から名前をたずれるのがよいでしょう。その場で正確な名称がわからない場合は、仮の名やニックネームをとりあえずつけておいて、知っている人や専門家などにあとできくようにします。

記録の方法としては、デジタルカメラやスマートフォンをつかって写真あるいばビデオをとっておくとよいです。特にビデオをつかうと、映像をとりながら名前や説明は音声で同時に記録(録音)することができるのであとでわかりやすいです。最近はビデオで簡単に撮影できるようになりましたので記録のためにつかうと便利です。


▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる 

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