取材では、課題をめぐり泥くさくくいこみ、個別的に些細な事実を多角的にあつめていくのがよいです。いいかえると概論的理解にはしらないということです。

このような意味では、村などの現地で聞き取り調査をするときには、体系的に解説をしたがる村のインテリよりも、バラバラに経験的知識をのべてくれる子供・女性・老人などの方がインフォーマントとしてすぐれているといえます。

具体的には、現地の人々に質問をする場合「たとえばどういうことがありましたか?」と実例をきくようにします。現在形できくよりも過去形できいた方が実際にあった事実のデータをえやすいです。

そもそも課題(問題解決)にとりくむ場合、その過程には段階があり、最初の段階では大局をみるようにしますが、第2段階目では局所に入りこむようにします。全体あるいは大局を短時間で一気にみる段階・方法と、局所にはいりこみ取材をする段階・方法とはことなります。

取材法は、問題解決の第2段階目で有効な方法であり、これをふまえて問題解決の第3段階(最終段階)では、全体像と個別的データとをくみあわせて本質にせまることになります。

したがって取材では、概論的理解に甘んずることなく、具体的個別的な情報に接近することが大切です。泥くさい個別データの集積こそ、月並みな公式的見解を打破して真相にせまるための糸口を提供することになります。


▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる 

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