ニール=マクレガー著『100のモノが語る世界の歴史』は「大英博物館展 ― 100のモノが語る世界の歴史」(注1)の関連解説書です。その第2巻は「帝国の興亡」をテーマにしています。

人類は定住生活から都市をきずき、そして文明を発展させ、帝国の時代をむかえます。強大な権力を手にした帝国のどの支配者たちも、ことなる民族やことなる宗教、ことなる文化をいかにして統治すればよいか、難題に直面していきます。

そこでカリスマ性をうみだし、権威を見せつけ、宗教にすがりました。彼らのうみおとしたモノから人類の苦闘と発展の歴史よみとることができます。

目  次
第7部 帝国の建設者たち(紀元前三〇〇~後一〇年)
 アレクサンドロスの顔が刻まれた硬貨
 アショーカの石柱
 ロゼッタ・ストーン
 漢代の中国の漆器
 アウグストゥスの頭部像

第8部 古代の快楽、近代の香辛料(一~五〇〇年)
 ウォレン・カップ
 北米のカワウソのパイプ
 球技に使われる儀式用ベルト
 女史箴図(じょししんず)
 ホクスンの銀製湖沼入れ

第9部 世界宗教の興隆(一〇〇~六〇〇年)
 ガンダーラの仏坐像
 クマーラグプタ一世の金貨
 シャープール二世の絵皿
 ヒントン・セントメアリーのモザイク画
 アラビアのブロンズの手

第10部 シルクロードとその先へ(四〇〇~八〇〇年)
 アブド・アルマリクの金貨
 サットン・フーの兜
 モチェの戦士の壺
 新羅の屋根瓦
 蚕種西漸図(さんしゅせいぜんず)

第11部 宮殿の内部ー宮廷内の秘密(七〇〇~九〇〇年)
 放血するマヤ王妃のレリーフ
 ハレム宮の壁画の断片
 ロタール・クリスタル
 ターラー像
 唐の副葬品

第12部 巡礼、侵略者、貿易商人たち(八〇〇~一三〇〇年)
 ヴァイキングのお宝
 ヘドウィグ・ビーカー
 日本の銅鏡
 ボロブドゥールの仏像頭部
 キルワの陶片

第13部 ステータスシンボルの時代(一一〇〇~一五〇〇年)
 ルイス島のチェス駒
 ヘブライのアストロラーベ
 イフェの頭像
 デイヴィッドの花瓶
 タイノ族儀式用の椅子


本書の第7部は、紀元前334年に、アレクサンドロス大王が〔アケメネス朝〕ペルシャ帝国を征服、それ機に壮大な帝国の時代が到来した話からはじまります。

第8部では、近代の快楽や娯楽の活動は古代の宗教に由来することを解説しています。

第9部では、仏教・ヒンドゥー教・ゾロアスター教・キリスト教・イスラームの興隆をしめしています。世界宗教あるいは高等宗教とよばれる大宗教がはたした役割がいかに大きかったを知ることができます。

第10部では、シルクロードについてのべています。中国から地中海までつづくシルクロードは、西暦500年から800年にかけて最盛期をむかえました。人々や物資だけでなくアイデアもひろがりました。

第11部では、世界各地の華麗な宮廷内の生活を垣間見ることができます。世界の支配者たちがみずからの権力を主張するために生みだした数々のモノがみられます。

第12部では、西暦800年以降も、戦士や巡礼者、商人たちが定期的に大陸を横断し、文化の交流がすすんだことをしめしています。


『100のモノが語る世界の歴史』第1巻では、文明のはじまりと都市国家の誕生をみました。都市国家の時代の後期には戦争がはじまったこともわかりました。

その結果出現してきたのが帝国です。都市国家は都市を中心とする小規模な国家でしたが、帝国は、都市国家とはちがい広域な領土をもつことが最大の特色であり、都市国家とはくらべものにならないほど巨大化しました。

領土を主張し拡大しようとすれば、他国との国境紛争がたえずおこるようになります。このことは現代までつづいています。


▼ 引用文献
ニール=マクレガー著(東郷えりか訳)『100のモノが語る世界の歴史 2 帝国の興亡』筑摩選書、2012年6月15日
100のモノが語る世界の歴史〈2〉帝国の興亡 (筑摩選書)
※ この解説書は、別途発売されている図録(注2)とは別の本ですので混同しないように注意してください。

▼ 注1
九州国立博物館(2015年7月14日〜9月6日)、神戸市立博物館(2015年9月20日〜2016年1月11日)

▼ 注2
図録『大英博物館展 - 100のモノが語る世界の歴史』筑摩書房、2015年3月25日
大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史 (単行本) 
図録は展覧会場でも買えますが一般書店でも販売しています。「100のモノが語る世界の歴史」をより簡潔に知るためにはこちらの図録をおすすめします。あるいは、この図録をまず見てから全3巻の解説書をよむとわかりやすいです。

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