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バクタプル

ネパールのカトマンドゥ盆地内にはかつての都市国家の面影をのこす3都市があります。都市国家の構造は環境保全のモデルとしてつかえます。

世界各地の都市国家はほとんどが遺跡になり往時の姿をうしなっているのに対し、ネパール・カトマンドゥ盆地内にあるカトマンドゥ・パタン・バクタプル(とくにバクタプル)の3都市は当時の様子をとてもよくのこしていて、世界遺産に登録されています。

これらは中心に都市があり、その周囲に耕作地(農地)がひろがり、さらにその周辺に山・川・森などの自然環境がひろがっています。これは下図のようにモデル化することできます。都市と自然環境とがつくりだす「主体-環境系」になっています。
150620 都市国家の構造
図 都市国家と自然環境がつくりだす「主体-環境系」のモデル


都市は自然環境から恩恵をうけ、一方で都市は自然環境にはたらきかけ環境を改良していきます。このような都市と自然環境との相互作用によって耕作地が生まれました。都市国家の時代にはこのような相互作用がとてもうまくいっていて環境が保全され、全体のシステムが維持されていました。

都市国家の機能は今日ではうしなわれていますが、この都市国家のモデルは環境保全のモデルとして現代に役立ちます。都市と自然環境とにあいだに、かつての耕作地のような緩衝帯をもうけることがポイントです。

2015年4月のネパール大地震でカトマンドゥ・パタン・バクタプルの旧都市国家(世界遺産)も大きな被害をうけましたが、今後、再建のために努力していきたいとおもっています。