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東京都美術館


東京・上野の東京都美術館で開催されている展覧会「大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史」(注1)をみました。700万点をこえる大英博物館の収蔵品からえらびだした100作品を通じて、200万年前から現代にいたる人類の創造の歴史をよみとこうとする企画でした。

わたしは今回は、「数字イメージ」をつかってこれら100個の「モノ」を記憶する訓練をしました。

「数字イメージ」を記憶する(その1) >>
「数字イメージ」を記憶する(その2) >>
「数字イメージ」を記憶する(その3) >>


「数字イメージ」とは語呂合わせで数字をイメージ化したものです(注2)。

展覧会場に展示されているそれぞれの作品には通し番号があたえられています。各作品をみながら、各番号の「数字イメージ」をその作品のイメージにむすびつけてあらたなイメージをつくりだし、おもいうかべました。「01=ワイン」「02=王子」「03=王座」「04=ワシ(鷲)」・・・というように数字はイメージ化されていますので、それを各作品にむすびつけてあらたなイメージをつくり記憶していったわけです。

具体的には、下記のイメージをおもいうかべて各作品を記憶していきました。この方法により100の作品を順序よく記憶することができました。

赤字は作品名、青字は「数字イメージ」です。 


地下1階
第1展示室「創造の芽生え」
01 「オルドヴァイ渓谷の礫石器」にワインをかけた。
02 「オルドヴァイ渓谷の握り斧」を王子がもっている。
03 「トナカイの角に彫られた マンモス」が王座のうえにおいてある。
04 「クローヴィスの槍先」をワシがくわえた。
05 「アボリジニの編み籠」にが片足をつっこんだ。
06 「縄文土器」のふちにオウムがとまっている。
07 「鳥をかたどった乳棒」をの人がもっている。
08 「雄牛の頭が描かれた器」をにわたした。
09 「古代エジプトの化粧パレット」をつかってお灸の準備をした。
10 「カルパトス島の女性像」がのうえにおいてある。
11 「ヒスイ製の斧」が医院の天井にある。
12 「玉琮」が皮膚科の玄関においてある。

第2展示室「都市の誕生」
13 「ウルのスタンダード」を小林一茶がもちあげた。
14 「楔形文字を刻んだ粘土板」を医師がもっている。
15 「メソポタミアの 大洪水伝説を語る粘土板」にイチゴをおいた。
16 「インダス文明の印章」を色鉛筆で模写した。
17 「オルメカ文明の仮面」のふちにがとまった。
18 「古代中国の青銅祭器」が市場にかざってある。
19 「ミノス文明の雄牛跳び像」の人物は一休さんである。
20 「金製の半月型装飾」が庭においてある。
21 「ラムセス 2 世像」は爺さんである。

第3展示室「古代帝国の出現」
22 「リディア王クロイソスの金貨」がの輝きをはなっている。
23 「アッシリアの戦士のレリーフ」は兄さんたちである。
24 「タハルコ王のシャブティ」の頭にニシンがのっている。
25 「金製のゾロアスター教徒像」は双子である。
26 「アレクサンドロス大王を 表した硬貨」を風呂にいれた。
27 「ロゼッタ・ストーン」のうえにフナがおいてある。
28 「アウグストゥス帝の胸像」の頭に双葉がある。
29 「アマラーヴァティーの 仏塔彫刻」のうえにがある。
30 「ソフォクレスの胸像」はサンマをたべている。
31 「コロンビアの戦士のヘルメット」をかぶったサイが突進してきた。


 
1階
第4展示室「儀式と信仰」
32 「六博ゲームをする人物像」は(さじ)をもっている。
33 「アメリカ先住民のパイプ」をアメリカ先住民がにかけた。
34 「マヤ文明の儀式用ベルト」のうえにミシンがおいてある。
35 「ミトラス神像」の土台は珊瑚でできている。
36 「アラビアの手形奉納品」とサルが握手した。
37 「ササン朝ペルシャの王を表した皿」がのまんなかにおいてある。
38 「クマーラグプタ 1 世の金貨」を産婆さんが胸につけた。
39 「ガンダーラの仏像」がのなかにある。
40 「ターラー菩薩像」がのなかにある。
41 「預言者ヨナを表した石棺」のうしろにシイの木がはえている。
42 「ウマイヤ朝カリフの金貨」を新聞でくるんだ。

第5展示室「広がる世界」
43 「唐三彩の官吏俑」のケースに染みがついている。
44 「敦煌の旗」をつけた獅子がやってきた。
45 「ハレム宮の壁画片」が信号の下においてある。
46 「キルワ採集の陶片」が跡にある。
47 「ボロブドゥールの仏頭」が支那竹(しなちく)をたべている。
48 「ホクスンの銀製胡椒入れ」が芝生のうえにおいてある。
49 「カロリング朝の象牙彫刻」を漆喰でかためて保護した。
50 「ヴァイキングの遺宝」のなかに独楽(こま)がある。
52 「モチェ文化の壺」に護符がつけてある。
53 「マヤ文明の祭壇」のわきにゴミ箱がおいてある。

第6展示室「技術と芸術の革新」
54 「聖ヒエロニムスのイコン」の人物には筋肉質で つよいがある。
55 「シヴァ神とパールヴァティ神像」がココアをのんでいる。
56 「ワステカ文化の女神像」のゴムの人形をつくった。
57 「アステカ文明の悪霊の像」にがかかった。
58 「インカ文明の黄金のリャマ小像」がごはんをたべている。
59 「イースター島の石像」はコックである。
60 「聖エウスタキウスの聖遺物容器」をもってロマンダンスをおどる人々がいる。
61 「タイノ族の儀式用椅子」にロビンがとまった。
62 「ルイス島のチェス駒」をロープでつないだ。
63 「聖ヘドウィグの杯」でムーミンが水をのんだ。
64 「イフェの頭像」にがとまった。
65 「青花皿」を婿にプレゼントした。
66 「金継ぎされた碗」のうえにムームーをたたんでおいた。
67 「イズニク陶器の花紋皿」のうえにがおいてある。
68 「ヘブライ語が書かれたアストロラーベ」をロバが首からかけている。
69 「明の紙幣」がロックコンサートで配布された。
70 「デューラー作『犀』」の犀をでつないだ。


 
2階
第7展示室「大航海時代と新たな出会い」
71 「世界一周記念メダル」が地衣植物のうえにおいてある。
72 「初めての世界通貨」のうえに夏蜜柑がおいてある。
73 「柿右衛門の象」にがかかる。
74 「ゴアのキリスト像」のそばにがある。
75 「シーア派の儀杖」のふちに軟膏がついている。
76 「ムガル王子の細密画」をナイロンの袋にいれた。
77 「両面式のカメオ」をがつけている。
78 「宗教改革 100 周年記念ポスター」が納屋にかざってある。
79 「ナイジェリアのマニラ(奴隷貨幣)」が地球儀の下においてある。
80 「ベニン王国の飾り板」がのうえにおいてある。
81 「ジャワの影絵人形」にがかかった。
82 「シエラレオネの儀式用仮面」を(やに)で修復した。
83 「贈答用に作られたこん棒」がのなかにある。
84 「ハワイの冑」のなかにヤシがある。
85 「カナダ先住民のフロックコート」にヤゴがとまっている。
86 「乾隆帝の詩を刻んだ璧」にハムがおいてある。

第8展示室「工業化と大量生産が変えた世界」
87 「ビーグル号のクロノメーター」にがおいてある。
88 「ヴィクトリア朝の ティーセット」でが紅茶をいれている。
89 「北斎漫画」をで装飾した。
90 「バカラの水差し」をがくわえている。
91 「自在置物(ヘビ)」のそばにをうった。
92 「アメリカの選挙バッジ」をのなかにいれた。
93 「ロシア革命の絵皿」がのうえにおいてある。
94 「ホックニー作『退屈な村で』」の人物はで髪をすいている。
95 「アフガニスタンの戦争柄絨毯」のうえでクコ茶をのんだ。
96 「パプアニューギニアの盾」のところにネコがやってきた。
97 「銃器で作られた『母』像」にがある。
98 「クレジットカード」をつかってクッパーをたべた。
99 「サッカー・ユニフォームのコピー商品」をきた人が救急車にのっている。
100 「ソーラーランプと充電器」のうしろにヒマワリがある。


以上により100個の「モノ」を順序だてて記憶することができました。あとは、目をつぶって何も見ないで01から順番にイメージをおもいだせるかどうか確認してみます。イメージ訓練とともに想起訓練もするのです。

記憶法の基本は理屈や言葉ではなくイメージをつかうところにあります。それらのイメージが情報処理あるいはアウトプットのために役立ちます(注3)。

記憶法を実践したほうが、あるきながら作品をただ見ていくだけのときよりも、かけた時間はおなじでも体験はよりふかまるとおもいます(注4)。


「数字イメージ」による記憶法をつかうと、100個のモノとはかぎらず100件の情報を記憶しやすくなります。世の中では、「○○○の100」といったよく整理された体系をしばしばみかけます。これらをつかわない手はありません。これらの情報に「数字イメージ」をむすびつけることにより、たのしみながら比較的短時間でらくに100件の情報を記憶することができ、情報が活用しやすくなります。

今回の大英博物館展では「100のモノ」とありましたので、「数字イメージ」をつかった記憶法を訓練するにはちょうどよいとおもい実践してみました。



▼ 注1
東京都美術館「大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史」
東京都美術館の会期は2015年6月28日まで。その後、九州国立博物館(2015年7月14日〜9月6日)、神戸市立博物館(2015年9月20日〜2016年1月11日)に巡回します。

▼ 注2:参考文献
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月
※ 今回は、線形法(Linear method)と埋込法(Key method)をおもにつかいました。「数字イメージ」をイメージのキーとしました。

▼ 注3
記憶法は、情報処理でいうとおもにプロセシングの方法であるととらえるとわかりやすいです。

▼ 注4
今回の展覧会場を一通りみおわるまでにかかった時間は約2時間でした。

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