大木聖子著『家族で学ぶ 地震防災はじめの一歩』は大地震から命をまもるための本です。

目 次
1章 地図をつくろう
2章 学校の中
3章 おうちの中
4章 ピクニックに行こう
5章 生きている地球
6章 防災館で体験

本書の基礎をなすのは第1章〜第3章です。これらを踏まえて第4章から第6章に発展的にとりくむとよいでしょう。

第1章には、避難場所を決めておくというもっとも基本的なことがのべられています。海のちかくにいる人は、十分な高さのある場所を選択しなければならないことはもう言うまでもないでしょう。そして、「近隣から火事が発生したら、おうちを捨てて避難する。パパとママとは避難場所で会おうね」と約束しておきます。

第2章と第3章は学校の中とおうちの中、それぞれのケースにつて解説しています。学校では先生と生徒が、おうちのなかでは家族のみんなで訓練をくりかえしておかなければなりません。

学校の棚は固定されているでしょうか。窓ガラスやガラス扉にはガラス飛散防止シートが貼ってあるでしょうか。家具は絶対に手でおさえてはいけません。そもそも家具を固定していないからおさえようとしてしまうのです

第6章では、各自治体が開設している防災館で実際に体験してみるようにすすめています。たとえば火災がでて煙がでてきたら、口を布のでおおって姿勢を低く、上の階ににげてはダメ。扉は地震のときは開けっ放し、火災のときには締める。


本書は、地震予知はできないし来るものは来るのだから、いつ来てもよいように準備しておこうという立場で書かれているところがよいです。わかりにくくてあまり役にたたない未来予測の確率論を展開するのではなく、実際に命をまもるにはどうしたらよいか、その基本を解説しています。



▼ 引用文献
大木聖子著『家族で学ぶ 地震防災はじめの一歩』東京堂出版、2014年1月30日
家族で学ぶ 地震防災はじめの一歩

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