『世界遺産で見る仏教入門』は、世界遺産をたどりながら仏教伝来の足跡について知ることができる本です。地図と写真が豊富で仏教の旅ガイドとしてつかえます。どこを旅行しようかとかんがえながら見ると理解がとてもふかまります。

つぎの世界遺産について紹介しており、仏教関連の世界遺産はほとんど網羅しています。

第1章 原始仏教
 仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)
 インドの世界遺産 
 ・ブッダガヤの大菩提寺
 ・サーンチーの仏教建造物群
 ・アジャンター石窟群
 ・エローラ石窟群
 ・エレファンタ石窟群
 ・カジュラーホの建造物群
 パキスタンの世界遺産
 ・タフティ・バヒーの仏教遺跡群とサライ・バロールの近隣都市遺跡群
 ・タキシラ

第2章 南伝仏教
 タイの世界遺産
 ・古代都市スコタイと周辺の古代都市群
 ・古都アユタヤ
 スリランカの世界遺産
 ・古都シギリヤ
 ・聖地アヌラーダプラ
 ・ダンブッラの黄金寺院
 ・古都ポロンナルワ
 ・聖地キャンディ
 アンコール(カンボジア)
 ボロブドゥール寺院遺跡群(インドネシア)

第3章 北伝仏教
 バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン)
 中国の世界遺産
 ・莫高窟
 ・雲崗石窟
 ・龍門石窟
 ・峨眉山と楽山大仏
 ・大足石刻
 ネパールの世界遺産
 ・サガルマータ国立公園
 ・カトマンズの谷
 ラサのポタラ宮歴史地区(チベット)
 オルホン渓谷文化的景観(モンゴル)
 石窟庵と仏国寺(韓国)

第4章 日本の仏教
 古都奈良の文化財
 ・元興寺
 ・薬師寺
 ・唐招提寺
 ・興福寺
 古都京都の文化財
 ・比叡山延暦寺
 ・清水寺
 紀伊山地の霊場と参詣道

第5章 民衆の仏教
 平泉 ― 仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群
 古都京都の文化財
 ・西本願寺
 ・天龍寺
 ・龍安寺
 紀伊山地の霊場と参詣道
 富士山 ― 信仰の対象と芸術の源泉
 日光の社寺

IMG_1817

IMG_1819

IMG_1818

IMG_1820


上記の世界遺産には仏教伝播の足跡がきざまれていますので、これらをたどれば仏教の伝播と仏教史の大局について理解することができます。それぞれの世界遺産の名称と位置を確認し記憶しておくとよいでしょう。仏教の伝播については地図上の矢印でわかりやすくしめされています。

仏教の原点は仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)です。ここを原点にしてアジアの地理的空間をとらえるとよいです。これから仏教の旅をはじめるのでしたらネパールのルンビニーにまず行き、そこから旅をスタートさせることをおすすめします。ルンビニーは、仏教に関する認識あるいは思考の出発点にしてもよいです。原点を決めておくと、あとで道にまようことがあっても原点にもどってかんがえなおす、あるいはやりなおせばよいということになります。


第1章ではネパール・インド・パキスタンの世界遺産を紹介しています。仏陀はルンビニーで生まれ、ブッダガヤで悟りをひらきました。最初の仏教は仏陀の教えでした。しかしその後、仏像の制作や石窟の開削がはじまりました。

東南アジアでは上座部仏教がおもに採用されました。上座部とは、戒律を厳格にまもることをとなえた保守派のことで、戒律の緩和をとなえた大衆部に対し、上座(長老層)が多かったことからその名がつけられました。

一方、中国では大乗仏教が採用されました。そしてその大乗仏教が中国から日本へつたえられました。


世界遺産は情報量が多くかつ情報が正確であり、またアクセスも一般には容易であるため旅の候補地にしやすいです。仏教の旅をするのでしたら本書をまずみて行き先を決め、つぎにその地域のくわしいガイドを見るようにするとよいでしょう。旅をしている自分を想像しながら見ていると認識はよりふかまってきておもしろいです。

なお本書は、東京国立博物館で開催されている特別展「インドの仏」とあわせてみると効果が倍増します。



▼ 引用文献
島田裕巳監修『世界遺産で見る仏教入門』世界文化社、2014年6月5日
世界遺産で見る仏教入門

▼ 関連記事
1枚のイメージで物語をあらわす - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(6)「ムーガパッカ本生」-
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-

時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -