IMG_1179
東京国立博物館・表慶館

東京国立博物館・表慶館で開催中の特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」(注)を見ました(会期:2015年5月17日まで)。

インド東部の大都市コルカタ(旧カルカッタ)で1814年に創立されたインド博物館はアジア最古の総合博物館であり、古代インド美術のコレクションが世界的に有名です。この博物館の仏教美術の至宝およそ90点を見ながら、インド仏教のあけぼのから1000年をこえる仏教史の流れをたどることができました。

展示室は、1階入口から入り、2階にあがり、ふたたび1階におりてくるという順路でした(図1)。

1階
第1室 仏像誕生以前
第2室 釈迦の生涯
第3室 仏の姿

2階
第4室 さまざまな菩薩と神
第5室 ストゥーパと仏
第6室 経典の世界
 * コルカタ・インド博物館について
 * 映像コーナー
第7室 仏教信仰の広がり

1階
第8室 密教の世界
 * ショップ

150412 表慶館
図1 表慶館・会場案内図


展示の概要はつぎのとおりでした。

第1 仏像誕生以前
初期の仏教寺院はストゥーパ(仏塔)を中心につくられ、ストゥーパをとりかこむ欄楯(らんじゅん)とよばれる囲いを、釈迦の生涯、その前世の物語であるジャータカ(本生)、神像、蓮華文様などで装飾していました。当時は、仏陀は人間の姿であらわすことはなく、法輪や聖樹や足跡などによって存在を暗示していました。

 釈迦の生涯
最初に仏像が作られたのはガンダーラと北インドのマトゥラーで、紀元後1世紀頃でした。仏伝「出家踰城」(しゅっけゆじょう)では、王子としてそだったシッダールタ(のちの仏陀)が出家するために城をでていく場面をえがいていました。

 仏の姿
礼拝像としてさまざまな仏像がつくられました。マトゥラーでは若々しい青年のような仏像がつくられました。

 さまざまな菩薩と神
修行をへて未来に仏になろうとするものを菩薩とよび、大乗仏教の興隆とともに人々を救済するものも菩薩とよばれるようになりました。また、インド古来や外来の神々をとりいれ、像は多様化しました。

 ストゥーパと仏
仏の舎利(しゃり)をおさめたストゥーパ(仏塔)は仏教徒の信仰の対象でした。

 経典の世界
仏教のおしえは口伝でしたが、樹皮やヤシの葉などに経文を記し、それをとじて保管するようになりました。

* コルカタ・インド博物館について
英国統治時代の1814年に創立したアジア最古の総合博物館です。古代インド美術のコレクションは世界的に有名です。収蔵品は人文科学や自然科学の多様な領域におよびます。バールフット・ストゥーパの「欄楯(らんじゅん、垣)」を復元したギャラリーは必見です。

* 映像コーナー
ボードガヤーやヴァーラナシー、ガンジス川などの映像(動画)をみることができました。

 仏教信仰の広がり
仏教はインドから中央アジア、東南アジア、東アジアへと広範な地域へひろがりました。インドではそのご仏教は衰退しましたが、周辺国ではさまざなま形で仏教信仰がつづきました。

8室 密教の世界
インドでは、5〜6世紀になると密教がうまれました。これは当時インドで次第に隆盛してきたヒンドゥー教の影響をうけた仏教です。独特な世界観・宇宙観が表現されるようになりました。

* ショップ
特別展のカタログや記念グッズ、関連書籍、写真集、紅茶などを売っていました。紅茶は、ダージリンやニルギリやアッサムなどのインド紅茶です。カタログとニルギリを買ってかえってきました。


以上を大局的にみると、仏像以前、釈迦の仏教、大乗仏教のはじまり、密教という大きな歴史のながれを読みとることができます。

表慶館という建物のなかにおいて各展示室の位置(場所)を構造的空間的にとらえながら作品をみていくと理解と記憶が一層すすみます。会場案内図(フロアーマップ)が役立ちます。


▼ 注

▼ 関連記事
1枚のイメージで物語をあらわす - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(6)「ムーガパッカ本生」-
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-

時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -