国立科学博物館の特別展「大アマゾン展」ではアマゾン川流域地域の多様性を見ることができます。アマゾンの多様性は、アマゾン川の豊富な水、赤道直下の高温多湿などの環境とそこでくらすさまざまな生物とによって形成されました。アマゾン川流域には、約6万種の植物、100万種以上の昆虫、約1800種の鳥類、約3000種の魚類、約420種の哺乳類が棲息しています。せっかくの機会ですのでアマゾンの多様性について展示室ごとにいくつかメモをしておきます。

第2室 哺乳類
アマゾンで多様化した哺乳類としては霊長類(サル類)と齧歯目(げっしもく/ネズミ類)がいます。
 
霊長類:ゴールデンライオンタマリン、エンペラータマリン、ヨザル、フサオマキザル、シロガオサキ、マンクサキ、ダスキーティティ、クロホエザル、フンボルトウーリーモンキー、ケナガクモザル。

齧歯目:デグー、チンチラ、ビスカーチャ、パカラナ、ローランドパカ、アグーチ、パンパステンジクネズミ、マーラ、カピバラ。

その他の哺乳類:アリクイ、ナマケモノ、アルマジロ、ジャガー、ピューマ、オオカミ、クマ、スカンク、イタチなど。


第3室 鳥類
アマゾンのインコ類はとくに多様化がいちじるしく、30属150種にもなります。そのなかで体がもっとも大きく尾のながいものがコンゴウインコとよばれます。アマゾン川流域が発祥の地とされ、アマゾンを象徴する鳥です。

南米の鳥たちは収斂進化の実例の宝庫になっています。収斂進化とは、祖先はちがっても、生態系のなかでおなじような生活をする生物が似た形態を進化させることです。


第4室 爬虫類・両生類
アマゾンの爬虫類はヘビ・トカゲ・ワニ・カメです。オオアナコンダは、南米パラグアイより北部に分布する超大型のヘビです。

アマゾンの両生類のカエルは小型のものが多いです。ヤドクガエル類は、非常に色彩がゆたかなカエルであり、樹上性あるいは地上性です。皮膚に猛毒をもっているため素手でさわってはいけません。現地人は、矢じりにつける毒をこのカエルからえています。


第5室 昆虫
モルフォチョウは、中南米に特有の華麗なチョウとしてふるくから注目されています。ヘラクレスオオカブトムシは、世界最大の甲虫として有名であり、アマゾン地域にはエクアトリアヌスという亜種が分布しています。タイタンオオウスバカミキリは世界最大のカミキリムシで、体長は16cmに達することもあります。


第7室 アマゾンカワイルカ
イルカは普通は海に棲息しますが、大河に棲息するものもいて「カワイルカ」とよばれます。全身は白色ないしあかるい灰色、ほそくてながいクチバシがあり、相対的に大きくて可動域の大きい胸びれなどの特徴をもっています。


第8室 魚類
ピラクルーは世界最大の淡水魚といわれ、最大4mに達します。1億年前から姿がかわっていないことから「生きた化石」とよばれます。デンキウナギは電気ショックをあたえるおもしろいウナギです。ピラニアとカンディルという危険な魚もいます。ピラニアは肉食性で人間に危害をくわえるものもいます。カンディルには、大きな魚類や哺乳類に穴をあけてその肉をたべる種類と血をすう種類がいます。


第9室 菌類
きのこは生態系における分解者として知られています。スッポンタケ科の一種は世界最小のスッポンタケ類です。ハエをおびきよせるための悪臭をはなちます。


第10室 水草
アマゾンの水草の多くは、アマゾンの特異な水質に適応して生育しています。エイクホルニア・アズレアは、水上にでる葉と水中の葉の形が大きくことなります。水上では空気中から二酸化炭素をとりこみますが、水中では水から直接とりこみます。


第11室 先住民の装飾品
アマゾン流域には多数の先住民が今なおくらしています。文明社会と見接触の民族が今なお67存在するといわれています。彼らは自然とともに生き、自然の恵みを享受しながら自然を利用してきました。


アマゾン川流域は多様性の宝庫であることは間違いありません。是非 保全していきたいものです。


▼ 参考文献
『大アマゾン展』(公式ガイドブック)、発行:TBSテレビ、2015年3月13日

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