国立国語研究所編『分類語彙表』の後半には50音順に単語を配列した索引が掲載されています。これをつかっておもいついた単語を検索し「分類語彙表」をみて類語をさがせる仕組みになっています。

この後半の「50音索引」と前半の「分類語彙表」とを見くらべれば、「分類語彙表」が視覚的空間的にわかりやすいことがよくわかります。「分類語彙表」にはつかみどころがあるということが一目瞭然です。

「50音索引」はくりかえし見ていても意味はありませんが、「分類語彙表」はくりかえし見る価値があり、見れば見るほど見えてきます

ここに、情報処理をすすめるうえでの重要なヒントがあるとおもいます。情報を記憶したり活用しようとおもったら、それらを音でとらえているよりも視覚的空間的構造的にとらえたほうがよいのです。

体系的に類語が分類・配置されているということは、それぞれの単語に、空間あるいは構造のなかで特定の位置があたえらているということです。

つまり、「50音索引」では単語が「音情報」になって順番にならんでいるだけなのに対し、「分類語彙表」では単語が「位置情報」になっているのです。配列の原理が両者でちがうことに注意してください。

たとえばインターネットなどでキーワードをねらいうちにしてその意味だけをとらようとする方法(いわゆるキーワード検索)は「50音検索」に相当します。このような通常のキーワード検索にくわえて、「分類語彙表」あるいはその他の類語辞典を利用した方法も身につけると言葉の世界が急にひろがってきます。
 
こうして「位置情報」として情報を処理することは情報処理能力をたかめることになるでしょう。日本語のみならず外国語の能力向上にもつながります。




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