150311 MacBook
「新しいMacBook」は3色(アップルのサイトから引用)

2015年3月9日(米国現地時間)アップルは、「ノートブックを再発明」とうたう新設計の12型ノートブック「新しいMacBook」を発表しました。重量は2ポンド(920g)、薄さは13.1mm、Mac 史上最薄最軽量を実現、カラー(仕上げ)は、シルバー・ゴールド・スペースグレイの3色です。2015年4月10日発売予定で、価格は148,800円からです(注1)。

数多くのレビューがインターネット上にすでにでていますので、ここでは、アップルのいう「ワイヤレスな世界のために完全装備」について強調しておきたいとおもいます。「新しいMacBook」は、ワイヤレス化がますますすすむ世界に対応できるように設計されています。

「新しいMacBook」には、ヘッドホン端子以外ではたった一つのポートしかありません。それは「USB-C ポート」とよばれるもので、充電・外部ディスプレイの接続・USB 3 速度によるデータ転送ができます。

このポートには従来の周辺機器は直接はつなげないのでアダプタを別途かわなければなりません(注2)。


これについては、「非常に不便であり、消費者のニーズを無視した進化」と批判する人もいます。

しかしアップルは、消費者の都合を“無視する”かのように数々の新製品をこれまでも開発してきました。たとえば、フロッピードライブの廃止、シリアルポートの廃止、ファイアワイアの廃止、CD-ROMドライブの廃止、ブルーレイにいたっては完全に無視しています。

したがって今回の「USB-C ポート」の件についてもおどろきではありません。むしろ当然の流れということでしょう(注3)。


アップルは、ワイヤレス・インターネットでつながれたクラウド(iCloud)をユーザーがつかうことを想定しています。クラウドのビジョンがまず先にあって、それにもとづいて商品を開発しています。つまりアップルは未来を先取りして技術革新をつづけているのです

ビジョンがなくて現状を維持しようとする人にとっては「消費者のニーズを無視した進化」という批判になるでしょうが、ビジョンがみえている人にとっては、なるべく効率的にあたらしい世界にすすんでいこうということになります(注4)。


クラウドのビジョンによれば、デバイスはすべてクラウドでつながるようになり、データもクラウドにおいておくようになります。あたらしいクラウドの時代に人類はこれから本格的に突入していきます

クラウドは機能的にはインターネットをつかうワイヤレスであり、このようなビジョンであればデバイスにおいて最後にのこるポートは電源のみということになります。その電源とても将来のいつかはケーブルがいらなくなるでしょう。たとえばソーラーパネルを搭載するなどして。

そして、クラウド・システムにおける情報処理の主体はあくまでも自分(人間)であって Mac や iPhone や iPad などのデバイスではありません。デバイスは情報処理をするときに役立つ単なる道具にすぎません。道具をつかいこなして一人一人が情報処理をすすめていくことがこれからはもとめらます。デバイスにただ依存していても情報処理はできません。わたしたちはクラウドに適応して主体性を発揮しながら情報処理をすすめていかなければなりません。


アップルの商品開発の歴史は、ビジョンをえがくことがいかに重要かを物語っているとおもいます。まずビジョンがあって、そして物が顕在化してきます。
 



注1:新しいMacBook >>
 
注3:MacBook Air の Retina ディスプレイ化を非常に多くのユーザーはまちのぞんでいましたし、それが消費者のニーズでした。しかしというか やはりというかアップルは、既存の製品のディスプレイをとりかえて現在のニーズにこたえるだけという陳腐なことはせず、未来を先取りした商品をまたしても投入してきました。「新しいMacBook」はこれからの MacBook ラインナップ開発の方向性をしめすものであり、現状の MacBook Pro が今後どのよにうに変更されるのかを予告する内容になっているとかんがえられます。

注4:近年の日本では「生きのこりをかけて!」という言葉がよくさけばれます。これは、過去の実績をなんとか維持してみがきをかけて、きびしい競争を生きのころうとするかんがえであり、そこには過去をみつめる視点があります。しかしアップルは過去にはとらわれず、そして現在のニーズも切りすて、未来のユーザーのニーズにこたえる新商品を開発しています。


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