本多勝一著『日本語の作文技術』第四章では読点のうちかた(読点の原則)について解説しています。

わかりにくい例文をわかりやすくなおした例を以下に引用しておきます。
 

1.長い修飾語:長い修飾語が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ

X 病名が心筋梗そくだと自分自身そんな生活をしながらも元気に任せて過労を重ねたのではないかと思う。
○ 病名が心筋梗そくだと、自分自身そんな生活をしながらも、元気に任せて過労を重ねたのではないかと思う。

X 戦前からの業者の流れを知る幹部も、若手も今年の漁獲やかつての北洋について聞くと、うしろめたそうな顔になった。
○ 戦前からの業者の流れを知る幹部も、若手も、今年の漁獲やかつての北洋について聞くとうしろめたそうな顔になった。

X じゅうたんの上にくるま座になって紅茶と、アラビアコーヒーをごちそうになる。
○ じゅうたんの上にくるま座になって、紅茶とアラビアコーヒーをごちそうになる。

X 北海道日高管内静内町にある、シャクシャイン記念館で三日、アイヌ系住民の古式にのっとった結婚式が三十年ぶりにおこなわれました。
○ 北海道日高管内静内町にあるシャクシャイン記念館で三日、アイヌ系住民の古式にのっとった結婚式が三十年ぶりにおこなわれました。


2.逆順:原則的語順が逆順の場合にテンをうつ

X 渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。
○ 渡辺刑事は、血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。

X Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。
○ Aが、私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。

X 私は人間的な感動が基底に無くて、風景を美しいと見ることは存り得ないと信じている。
○ 私は、人間的な感動が基底に無くて風景を美しいと見ることは存り得ないと信じている

X 私は出発準備にとりかかった。まずアベールの妻のカーリーが、昨夜寝る前にほしておいてくれた靴や手袋をていねいにもむ。物音でメガさめたのだろうか、カーリーも起き出してきた。
○ 私は出発準備にとりかかった。まず、アベールの妻のカーリーが昨夜寝る前にほしておいてくれた靴や手袋をていねいにもむ。物音でメガさめたのだろうか、カーリーも起き出してきた。


X 亡くなったおばあさんが毛だらけで、赤顔で、変な人相の白い人間たちがいて、大きなくり舟に載せて人をさらって行ってしまう、とよく話していたからであった。
○ 亡くなったおばあさんが、毛だらけで赤顔で変な人相の白い人間たちがいて大きなくり舟に載せて人をさらって行ってしまうとよく話していたからであった。

X クンタはよく藪の中で自分が一人前の男になったら、すぐに母親のビンタを女らしくふるまうようにしつけてやろうと腹立ちまぎれに考えるほどであった。
○ クンタはよく藪の中で、自分が一人前の男になったらすぐに母親のビンタを女らしくふるまうようにしつけてやろうと腹立ちまぎれに考えるほどであった。


「長い修飾語」の原則と「逆順」の原則が読点の「二大原則」です。「二大原則」のほかに思想の最小単位をしめすためにうつテンがあります。

二大原則のほかに、筆者の考えをテンにたくす場合として、思想の最小単位を示す自由なテンがある。

テンというものの基本的な要素は、思想の最小単位を示すものだと私は定義したい。マルで切れる文章は、これらの最小単位を組みあわせた最初の「思想のまとまり」である。


そしてつぎのようにのべています。

重要でないテンはうつべきでない。

構文上高次元のテン(文のテン)を生かすためには低次元のテン(句のテン)は除く方がよい。

つまり、わかりにくくなるだけでなく、しばしば意味がちがってしまうので必要のないテンはうってはならないということです。


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