本多勝一著『日本語の作文技術』第10章では「作文『技術』の次に」と題して、もう一歩つぎの段階にふみこんで作文の「作法」や取材の方法について解説しています。


1 書き出しをどうするか

序論みたいなものをクドクド書いていてはだめだ。論文であればなるべく早く問題の核心へ、紀行文であればなるべく早く現地へはいる方がよい。

つまり、あらかじめ知っておく必要のある説明文のようなものは必要最小限にとどめ、読者をはやく「舞台」に引きずりこみ、そして終わりまで読んでくれるものを書くということです。


2 具体的なことを

できるだけ読み手にとって身近なこと、できるだけ直接関係のあること、できるだけ具体的なことをとりいれて文章を書くのがよいです。具体的な事実を書くということは大げさな修飾語をやめるということです。

一般の人は身近なことや関係のあること、具体的なことに関心をいだいているので、できるだけ関心のより高いものを作文の材料にすべきです。

そのためには事前によく取材をしておくことが必要です。


3 原稿の長さと密度

10の取材をして1か2の記事を書くというのが取材量と原稿量のおおざっぱな原則です。たとえば原稿用紙3枚を書こうというときには、もし材料をすべてつかって書きつくすなら20枚か30枚書けるだけの材料があるものを書きます。もしそれだけ材料がなければそれだけの取材をしてから書くようにします。


4 取材の態度と確認

取材のときには誠意をもって取材相手に対することが必要です。誠意はまず態度であり、ついで事実をもって証明することです。謙虚になって事実を記述することがもとめられます。

また取材の結果はあらためて確認するようにします。


■ まとめ
  • 前置きは必要最小限にし、はやく本題に入る。
  • 具体的なことを書く。
  • 10の取材をして1か2の記事を書く。
  • 謙虚になって事実を尊重する。



▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)

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