本多勝一著『日本語の作文技術』第九章では「リズムと文体」について解説しています。

鈍感でない文章ということになってくると、その終極点はたぶんリズム(内旋律)の問題になるだろう。

名文家といわれる人は、頭の中で無意識に朗読しながら書いている。自分の文章のリズムが無意識に出るようになったとき、その人は自らの文体を完成させたのである。その人の文章は、もはや他人が安易に手をつけられない域に達したといえよう。

このように作文技術の最終段階は、みずからのリズムを生みだすことであるとのべています。

具体的な技術としてはつぎの例文をつかって説明しています。

㋑ 突然現れた裸の少年を見て男たちはたいへん驚いた。
㋺ 男たちは、突然現れた裸の少年を見てたいへん驚いた。

㋺型(短い題目語を他の長い修飾語より先に出す)は、とくに理由がなければ、決して「より良い」方法ではない。

つまり、みじかい題目語(上の例でいうと「男たちは」)をあとにもってきて述語とつなげた方が文のリズムはよくなるということです。

リズムの技術は、「日本語の作文技術」としては上級編に属するものです。リズムは、日本語の「語順」や「読点」の技術、表記法などを習得した人が、さらに上を目指す場合に取り組むべき課題であるといえるでしょう。

そしてここまでくると、その人は、「技術」をこえる段階にいよいよ入っていくのではないでしょうか。


■ まとめ
文章にリズムを生みだすためには語順や読点の原則にしたがい、みじかい題目語を先にださない方がよい。



▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)


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