年に一度のオーディオのイベント、ハイエンドショウトウキョウ2014に先日いってきました。会報は、青海フロンティアビル(東京都江東区)でした。

わたしはおもに逸品館のデモを聞きました。目玉は、ペアで2千2百万円もする超高級スピーカー、Focal Grand Utopia でした。もはやライブを越えています。ゆたかにひろがる音場、繊細な高音、自然で重厚な低音、圧倒的な底力。こんな世界最高級のスピーカーで音楽をきけるチャンスはめったにありません。

おもしろいのは、あくまでも音楽がひろがり、スピーカーからは音はきこえず、スピーカーの存在が消えてしまっていることです。まさに臨場感です。

中央の一点からボーカルがきこえ、そのやや右後ろからベースがひびいてきます。ボーカルがたち、そのやや右後ろにベースがたっていることがはっきりとイメージできます。

しかし、その場所に行ってみるとそのような音はありません。スピーカーのそばに行ってみるとスピーカーからはたしかに物理的な音は出ているのですが、スピーカーからはなれると音楽の響きがひろがります。物理的な音はスピーカーから出るのですが音楽は仮想の音響空間で響いています。音響空間ではスピーカーは消えているかのようで、音楽は、スピーカーそのものからは聞こえてこないのです。物理的な音と、空間に響く音楽とはちがうということです。

つまり、音楽の響きは耳ではなく意識で認識しているのです。わたしたちの意識は、2本のスピーカーから出てくる物理的な音を、意識のなかで融合させて有機的・立体的な音楽をつくりあげています。意識は部屋全体にひろがっていて、その意識の場のなかで音楽が響いているといってよいでしょう。

オーディオ装置で音楽を聞いてみると自分の意識のひろがりとその仕組みについて実感することができます。ここに、ライブとはちがおもしろさがあります。意識とは、情報処理の場あるいは仕組みと言いかえてもよいです。

また、5.1サラウンドのデモもありました。臨場感が一層増して、特に、オーディオ再生がむずかしい大編成の交響曲はすばらしかったです。